歌い手がヤンデレ

そらるがヤンデレ ページ28

そらるの視点


トンカチで頭を殴られた気がした。

Aが俺よりまふまふの方が好き、という事は薄々気づいていた。

いや、気づかないふりをしていた。

でも、どうしても俺の方に振り向いてほしくて、わざと弱い所を見せた。


Aは優しいから、すぐに俺がほしかった言葉をかけてくれる。

ずっと一緒に居たいから、なんて嘘だって知ってる。

俺を落ち着かせるための、心にも思っていない、そこら辺に落ちていてぱっと集めて作った言葉だって知ってる。

でも、でも。

それでも嬉しいなんて思う俺は、相当Aに依存してる。


「本当？」

「うん、本当。ずっと一緒に居たいよ」

花みたいに可憐な笑顔を見せられて、どきっと心臓が高ぶった。

ほら、こんな言葉でも嬉しいと思う俺はおかしい。


「だったらさ、俺とずっと一緒に居て」

「もう他のみんなと会わないで」

「俺だけのアルフィートで居てよ」

息つく暇もないまま、言葉を並べる。

これが(主人公)を悩ませる言葉だと、分かってはいるが、どうしても言いたくなる。


「んー。ずっとか」

微笑しながら、困った顔。

でも、俺は知ってる。

Aが、押しに弱いことを。


「俺の所に来たら、あのお菓子、食べ放題だよ」

最後の畳み掛けだ。


「え？あ、あれが食べ放題？」

目を輝かせて言うA。

あのお菓子とは、察してほしい。


「そうだよ。だから、来なよ…家に。A」

官能的な声で誘ったら、後はもうこっちのもん。

Aが、俺のこの必殺で断った事は一度もない。

だから、このまま俺と一緒にいよう。A

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