歌い手がヤンデレ

ヤンデレがそらる ページ27

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Aの視点



そらる氏は俯いていながらも、何かを言っている。



私はそらる氏の腕をそっと、刺激しない様に解いた。

そして聞き取ろうと、顔を近づける。

私とそらる氏の距離は、現在数センチ程度。

だから今、そらる氏がもっと俯いたらキスすることになる。

それじゃなくても、側から見たら私達はキスしてる様に見える。

まぁ、どっちみち誤解を生む事には変わりない。

というか、顔を近づけた時点でアウトでしょ。


「A………。A……」

そらる氏は、ずっと私の名前を言っていた。

いや、正しくは唱えていた、というのがあっているかもしれない。

そらる氏は、まるで難しい英文を読むみたいに、顔を険しくしながら言っていた。

その様子は、生気がまるでなかった。


この様子に胸が痛んだ。


そらる氏がこうなったのは、自分の所為だと思ったらまた余計に胸が痛くなった。

ちくちくっと、刺激を心に与えられて顔が歪んだ。


「そらる氏…ごめんなさい。冗談だよ、ずっとそらる氏と一緒に居たいから」

顔を近づけたまま、俯いているそらる氏に向かって言う。

こんな言葉が、そらる氏の何になるかなんて知らないけど、これが精神安定の言葉というくらい知ってる。

だから、こんな言葉をいとも簡単にさらさらっと言う私が、私はあんまり好きではない。

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