宮ンズの幼馴染＃2 (ページ35)

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淡色 ⑤ ページ35

Side 治

「サム、花火すんで」

「は？」

「こないだの残りどっかにあったやろ」

「湿気てんちゃん。てかどこで」

「あっこの公園。俺探してくるからAとおって」

相変わらずの片割れにため息をついて
ツムの背中に隠れとったAに目をやる。

なんかあったんやろな、とは思ったけど

「…ツムには言うたん？」

そう、聞けば首を振るから
そうか、って返事をしてツムが花火をもってくるんを待っとった。

「これも湿気とるやんけ」

「雰囲気で楽しめや！文句いうな！」

季節外れの花火は、ほとんど湿気とって
あれもあかんこれもあかん、いうて3人で囲んで

Aはその間、ひとこともしゃべらんかった。

「サムはどうなん」

「何がやねん」

「彼女」

「分からん」

「…俺も」

ツムの問いに、正直に答える。

付き合う、とか彼女、とか
好き、とかに明確な定義があるんやったらそれに当てはまってるか考えるだけやのに

「好きなん」

「…さあ。おってもおらんでもそない変わらんかもしらん」

「手つなぐとかキスしたいとか、思わへんの」

「…行為としては思うけど」

最近のツムを見とったら分かった。
「面倒や」って思っとる顔しとったから。

「俺は別れる」

「ふーん」

「なんやねん」

「別に。俺も同じこと考えとっただけや」

「なんでなん」

「それもお前と同じ考えちゃうか」

「…しょーもないねんもん」

単なる「興味」「好奇心」やった。

こういうもんなんか、って
他人事のように考えとった。

段々と分かるようになった。

彼女は大事にせなあかん存在で、一番の味方でおってあげたい存在なんやって。

そしたら一番に思い浮かぶんは
何の迷いもなくその名前を呼べるんは
できればずっと笑っとってほしいんは

「A」

全部つながったときにはもう、「彼女」の声は聞こえんかった。