【QK】透明色の感情を愛と呼ぼう【ymmt】

決意に続き時は流れる ページ47

冷たく粒立った空気が、静かに冬の到来を予告している。空から少し棘のある風が吹いて来て、私は思わず分厚いケーブルのカーディガンで手先を隠した。

今日は本当なら、暖かい布団の中でずっと眠っていられるはずだった。しかし、フードメニューを冬仕様に切り替えるための準備を終わらせるには、この定休日を活用するしかなかったのだ。まあ全部、強要なんかじゃなくて自分の意思でやろうとしているから良いんだけれど。私はその寒さに耐えかねて、心なしか歩く速度を速めた。

あの日から、ようやく一週間が経った。長かったかと言われれば実際そうでもなくて、ただ普段と変わらない毎日を送っていた感覚である。伊沢さんと山本さんだけでなく、河村さんや福良さんなど他のQuizKnockの社員さんも相変わらず贔屓にしてくれる。

総じて言えるのは、やはりQuizKnockは素敵だということだ。それぞれの素晴らしい人間性や性格が混ざり合って、最高のチームが出来ている。良い意味で会社らしくなくて、お互いを仲間だと認識しているあの感じは、そう簡単に作れるものではないだろう。それは勿論、動画上だけでとっくに分かっていたけれど。しかしこうして直接触れ合うことで、その魅力を深いところまで知ることが出来た気がした。

そして勿論、彼ら以外のお客さんで賑わう日だってある。付き合いたてのカップル、阿吽の呼吸の熟年夫婦、癒しを求めるお一人様。グラスを通して見える彼らの姿には、それぞれ違う色がある。その光景はまさに、十人十色で素敵だった。

そしてその感情は、明確になった決意へと繋がっていく。

店内に入り、慣れた手つきで照明を付ける。普段ならば音楽プレイヤーに向かうところで、私はカウンターの隅に置かれた小さなテレビに電源を入れた。店長が愛用していたそれに、暫くぶりに画面に明かりが点く。

上の階では、自分たちの放送を今か今かと心待ちにしているのだろう。今日は彼らが揃ってクイズ番組に出演する、記念すべき日なのである。ツイッターでは本人含めて界隈が沸いているし、私だってずっと前から楽しみにしていた。今や当然のように彼らと関わっているが、結局私はQuizKnockの立派なヲタクなのである。

冷蔵庫から食材を取り出し、包丁を下ろしていく。彼らの出演する番組が始まったら、一度手を止めてゆったりと観賞しよう。そんなことを考えながら、日没に気付かないほど黙々と作業を進めていく。その瞬間、店内に、一つの着信音が鳴り響いた。

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