11話 ページ11
ダリルside
リサは一言で言うと、犬みたいな女だった。
拾ったばっかの頃はウォーカーに怯えてたのか、いつも俺や兄貴の側から離れず付いて回っていた。
兄貴はリサをどうするつもりなのかと心配していたが、予想に反して異様なまでにそんなリサに対して優しく接していた。
無理に犯したりしてもおかしくはないはずが、なにも手出しをしない。
下品な冗談は言っていたが、なんだかんだリサを守ろうとしていて。
まさか本気で惚れてるんじゃないかと疑うほどだった。
そんな兄貴にリサはひどく懐いてしまった。
そんなある日、今のキャンプのメンバーに出会った。
リサは知らないが、兄貴はこのキャンプを乗っ取るつもりで仲間に入った。
そうこうしているうちに、だいぶリサはここのメンバーと馴染んできていて。
それと同時にリサは俺達について回ることが減った。
兄貴はそれが気にくわないみたいで、色々邪魔してたが。
「ダリル見て見て！このキノコ食べられるかな？」
嬉しそうに手に持った怪しげなキノコを俺に見せに来るコイツは、今や1人でフラフラとどこかに行くような危なっかしい一面を見せるようになっている。
「どう見ても毒キノコだろそれ。子供が食ったら多分死ぬぞ」
呆れたようにそう答えると、残念そうにそのキノコを地面に置く。
今一緒に来ているこの山菜採りとやらも、本当はコイツ1人で行くつもりだったらしい。
シェーンの野郎に言われなきゃ、俺を誘ってなかっただろう。
ビビりなくせに、1人で山ん中に入ろうとする根性はどっから出てきてんのか、俺には全くもって謎だった。
「ダリルはなんでそんなに野草とかキノコにくわしいの？」
「そんなの、生きてくための知恵だろ」
少し得意げに言うと、隣を歩くリサが俺を見上げる。
「じゃあその知恵、私にも教えてよ」
楽しそうに笑うその顔に、俺は少しため息をつく。
俺は勝手に、コイツは俺と兄貴にしか懐かないと思っていた。
そしてその思い込みは正直正しかったと感じている。
リサが離れた場所で誰と話していても、俺が呼べばすぐに駆け寄ってくる。
その姿は、まるで尻尾を振る犬みたいだ。
だが、こんなクズみたいな兄弟に懐くなんてバカとしか思えない。
「そろそろ戻るぞ、日が暮れる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺろ - 続きを楽しみにしてます (2022年7月15日 19時) (
レス) @page25 id: 1cd0628146 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aaa | 作成日時：2021年1月17日 12時
