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ああくそ、何を言ったら良いんだ。
どうやったらさっきの言葉を打ち消せる？
俺が自分のしでかした事を後悔している間にAは帰ると言い始めて。
絶対ダメだ、このまま返したら後悔する。
大事にしたいって友人には言ったくせに、それが出来ない自分に苦いものが込み上げる。
手を掴んで引き止めて、抵抗する体ごと押さえ込むように腕の中に閉じ込める。
「泣かせたまま帰したくない。…頼むから、」
至近距離で合わせた彼女の目は変わらず涙に濡れていて。
口づけを落としたくなるのをぐっと堪えて抱きしめ続けた。
「翔さん、もう行かないから。大丈夫だから」
しばらくして聞こえた宥めるような声音と添えられた手の温かさで体の強張りが解ける。
話し合おうと言った俺に頷いてくれたAの手を握って部屋へ向かった。
部屋に入ってすぐ、堪えきれなくなってもう一度Aを強く抱きしめる。
「ちょ、ちょっと」
「ごめん。いや、なんか最近会えてなかったし」
いつものように戸惑うAの姿を見て、らしくねぇな俺って照れてしまう。
「じゃ、まずはAから。俺に聞きたい事どうぞ？」
今までのモヤモヤを吐き出すようにお互いの認識を擦り合わせて。
嫉妬という認めたくない自分の感情を看破されて恥ずかしくなる。
本当に格好つかねぇなって自分に呆れてしまうが、そんな俺の事をAはよりによって可愛いだなんて言う。
「そんなかわいい所、他の女性に見せちゃダメですよ？」
「当たり前。俺がこんなポンコツになれるのはAの前だけだから」
格好つけたくて頑張るのも相手がAだから。
でもそれは別に俺だけじゃなくて、Aも俺の前では頑張っていたのかもしれない。
「私は翔さんの隣を譲る気は無いんで、翔さんも簡単に私を手放そうとしないでくださいね」
別れる気なんて無いぞとこちらを睨む目に真剣な眼差しを返して、繋ぎ慣れたAの手を下から掬い上げる。
「仰せのままに」
そっと落とした接吻に彼女への愛を心の内で誓う。
「なあ、週末にでも指輪買いに行こっか」
「はあ！？」
思わず、といった風に目を剥いたAに愛情を込めて笑いかけた。
＊fin＊
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snow - 初めてコメントさせていただきます。いつも、というか毎日(笑)、更新楽しみにしております。紫苑さんの作品はどれも好きです！またリクエスト思いついたらコメントしようと思っています(笑)これからも応援してます！！ (2021年3月2日 17時) (
レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - おはよぉございます。朝からドキドキしちゃいました(笑)蛇に睨まれた蛙状態ってこの事を言うんですよね。長期戦…潤くんの出方が楽しみです。 (2021年3月2日 8時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！リクエストもありがとうございました！テンポの良い会話は意識しているところでもあるので感じ取っていただけて嬉しいです！今後もよろしくお願いします。 (2021年2月20日 22時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - こんばんは。素敵な物語をありがとうございました。ハラグロ〜をリクエストしたりえです。テンポが感じられる会話と、ちゃんとヒロインを見てくれている彼を感じられました。今後も更新を楽しみにしております。 (2021年2月7日 22時) (レス) id: 21caf3f58b (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - kazuさん» 読んで下さってありがとうございます！DM頂いてない方のフォローリクエストは消去してしまってることがあるのでフォローできてないかもしれません！もしフォロー出来ていなかったら青い鳥でのお名前を教えて頂ければ許可しますのでコメントをくださればと思います。 (2021年2月6日 23時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2021年1月4日 12時
