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「ニノ！生徒にこんな重いもの運ばせちゃダメでしょ？」
二宮先生に恐い顔をして見せた彼は、そう言って上から3分の2ほど持ってくれて。
「すみません」
「え？いやいや、君が謝ることもないからさ。そもそも悪いのはニノだし」
「そんなら最初から翔ちゃんが手伝ってくれたらよかったんじゃない？」
「別に手伝わせなくても2回に分ければいいだろ！」
"ニノ" と" 翔ちゃん" がお互いのことを指してるのは明らかで。
気安く呼び合う姿に先生たちの仲の良さが垣間見えた気がしてちょっと面白い。
じいっと二人を観察していたらさすがに視線に気づかれて、二宮先生がへらっと笑う。
「やば、生徒の前だった。立花これ内緒な？」
「あ、はい。ええと」
改めてお礼を言おうにももう一人の先生の名前がわからない。
確か同じ1年の担任だった気がするんだけど、何せまだ二日目だから全員は覚えきれていない。
「ああ、そっか。2組の担任と英語を教えてる櫻井です。4組なら担当してるからまた改めて挨拶すると思うけど」
そう言って櫻井先生が浮かべたのは二宮先生の悪巧みしてそうなそれと違って爽やかな笑み。
「…立花何か今失礼なこと考えてなかった？」
「いいえ。何も」
妙に聡い二宮先生の指摘にドキッとするけど表情には出してないはず。
「まあいいけど。それで？櫻井先生は何の用？」
「は？お前が呼んだんだろ？」
「ん？…ああそうだった。松本と相葉の事なんだけど、あいつらどうにかなんねえ？」
「どうにかしたいとは俺も思ってるけど俺の言う事を素直に聞くような奴らでもないし」
はぁ…… と二人が揃ってため息をつく。
「あの、私もう行って良いですか？」
松本くんと相葉くんとやらは昨日サボってた二人だと思うけど、直接関係なさそうだし良いですよね？
「ああ……ん？」
一度頷きかけた二宮先生が急に目を輝かせてこっちを見る。
この前の委員長を押し付けられた時と同じ、嫌な予感がする。
「そうだよ！立花がいるじゃん！」
「はい？」
「あいつらの面倒みてくんね？」
「あいつら、とは松本くんと相葉くんですか？」
「そうそう。俺らからあれこれ言うよりも委員長が言った方が聞くんじゃねぇかな？」
「いやいや、まだ学校始まったばかりで信頼関係もないですし。それに二人の顔も知らないんですよ？」
また無理難題を押し付けられてはかなわない。
いろいろ理由を並べて断ろうにも押しの強さに負けそう。
…りっちゃん助けて。
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作者名：紫苑
| 作成日時：2020年6月30日 23時
