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カズさんの言う通り松本さんの料理はどれも美味しかった。
カズさんとまだ付き合う前のちょうど揉めていたあの頃の食事は、何を食べていても味がしなくて。
ただ栄養を摂取するためだけの作業になっていた。
それを考えると食事を美味しいと感じられて、なおかつ大好きな人と笑い合えるこの時間が奇跡みたいに思える。
カズさんがずっと想っていた彼女もこうして食事をしたのだろうか。
今でもそれを考えると、つきんと胸が痛んでたまらない気持ちにはなる。
それでも松本さんや大野さん、何よりカズさんがずっと仲良くしてきた人なのだからきっと悪い人では無いはず。
彼らの優しさに助けてもらった私にはそう思えるようになっていた。
今までずっと比べられるのが嫌で、自分で比べてしまうのが嫌で聞かないで来たけれど。
初めて彼の話を聞いてみたいと思った。
「ねえカズさん、大野さんとか松本さんとは大学で会ったんだよね？」
「ん、そうだけど？」
「…カズさんのお友達の話をもう少し聞かせて欲しいなって思って」
急に今までとは違うことを言い出した私を見る眼は不安そうに揺れている。
不安なのは読み取れるけれど何が不安なのかまではわからなくて、私の決意が少しだけ揺らぎそう。
「なんで、急に」
「そんな大した意味は無いんだけど…その大学時代に知り合ったのがカズさんにとって大事な人達で、大学生の時は楽しかったんだろうなって思って」
焦ったような表情に変わったカズさんの顔を見ながら、できるだけ正確に自分の想いを伝えてくれそうな言葉を探す。
「カズさんが何を想ってたのか、どういう人と過ごしてたのか気になったんだけど……うん、やっぱ止めておく。ごめんカズさん、今の話忘れて？」
「やだ」
「ええ！？」
間髪入れずに拒否されて大きな声が出る。
「はー、ホントお前はさぁ」
言えば言うほどカズさんの顔が険しくなっていくから、聞かなかったことにして欲しいって頼んだのに。
嫌だなんて言われてしまうとちょっと傷つく。
しかも続けて大きいため息も吐かれてしまってもう何が何だか。
「その忘れて、っての禁句だからな」
「え？」
「だーかーら！あの時もお前そうやって言っただろ！」
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
