女好きな君を振り向かせる方法。 (ページ6)

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今日もまた、別の女と出かけていた

買い物に散々付き合わされた後は家に送り、そのまま帰ろうと踵を返した

｢行っちゃうの……？｣

背中に抱きついて引き止められるが無視してその場を立ち去る

なにをやっているのか自分でもよくわからなかった

もとはもっと誠実でいようと、一途でいようと思っていたのに、たった一言の言葉でこんなにも変わるとは思っていなかった

気づけば本当に好きなやつには素っ気ない態度をとっていて、仲間からは女好きと呼ばれるようになっている

こんなはずじゃなかったんだがな、とたばこをふかしながら酒場へ歩みをすすめて扉を開ける

相変わらず賑やかな仲間たちに呆れながらも笑っていると、すぐに近寄ってきて声をかけてくるのはやっぱりあいつで

｢ベックくんおかえり！相変わらずおそいなぁー、｣

そんなことを言ってくる俺の好きな女は、しょぼくれたように眉を下げた

ほんとはもっと優しい言葉をかけたいのに出てくるのは素っ気なく冷たい言葉で、そんな俺にすらも優しく笑いかけてくれるホノカに優しいな、とつくづく思う

だが、ホノカのある一言に思わず固まった

お頭がネックレスをプレゼントした。

あのお頭が、と目を見開いて驚くと同時に幸せそうに笑う目の前のやつにどうしようもないくらいの苛立ちと嫉妬に苛まれる

なんで、なんで、

何分たったかは覚えてない、数秒だったかもしれない。きょとんとこちらを見つめてくるホノカにはっと我に返り、口をついて出たのは思ってもいない言葉で。

｢そうか｣

違う、そうじゃない、そんな事がいいたいんじゃない

目の前には少しショックを受けている彼女がいて、足早に去ろうとする背中を見て小さい声で素直な気持ちを呟いた

｢似合ってる｣

ほんとに、小さな小さな言葉だった。独り言のような、そんな声量。

それでも彼女の耳にははっきり聞こえていて、いつも向けてくるような笑顔じゃなく、とびきり嬉しい時に見せるくしゃくしゃの顔で

｢ありがとう！！！｣

そういうと今度こそカウンターの方へと向かうホノカを見て思った

ああ、すきだ

ほかの女とどうなろうとその気持ちは変わらない

あの笑顔をずっとみていたい、俺にだけ向けて欲しい

そう思いながら紙袋をそっと後ろに隠した