年下の男 26 (ページ49)

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僕らしく…YN ページ49

★★★

隣の部屋に戻ってすぐ、僕は頭を下げた。

「ごめんなさい。色々と動いてくれたのに台無しにしてしまいました！」

皆を巻き込んで、

色々と骨を折ってくれたのに。

その気持ちがありがたくて仕方ないのに…。

「…まぁ…………想定内だったわな」

「…そうですね。ユノさんがあそこまでもったのが奇跡的じゃないですか？」

「…僕は…探偵の真似っこが出来て、不謹慎ですけど楽しかったです！」

頭上から優しい言葉が降ってくる。

頭を上げると

皆、微妙な顔で笑っていた。

ちらり、とチャンミンを見ると

「……まぁ、僕も言いたいことはかなり言えたんで9割満足しましたよ」

そう言ってコクコクと頷いてくれる。

「それに…何か少しは刺さったんじゃねーか？」

小林さんの視線の先、ディスプレイに映る彼女に皆の視線が動く。

彼女は

ベッドに座ったまま

ピクリとも動かない。

テーブルにつけてあるというマイクが

微かな嗚咽を拾う。

「……どうですかね。私は信じませんけど」

竹下さんの言葉に

「僕もとても信じられませんね。さっきの僕とのやり取り、見てたでしょ？！」

「そうですよ！皆甘いです！性悪はどこまでいっても性悪ですよ！」

「本当にあんなに面の皮が厚い女は見たことがないですよ！」

意気投合していくチャンミン。

ふと、2人の視線が合う。

「…あ、えっと？？？」

チャンミンの頭にクエスチョンマークが浮かぶのが見えた。

「あ、彼女は…」

「初めまして。ユノさんと同じ職場で、Aさんと同じオペレーターとして勤務してます。竹下清香です」

僕の紹介よりも素早く自己紹介を済ませる竹下さん。

「…ああ！

Aヌナに聞いたことがあります！すっごい美人がいるって！貴女のことですか？！」

「……え、」

竹下さんが固まる。

そしてみるみるうちに顔が赤くなっていく。

「お～！清香が照れてるぞ！貴重だなぁ！！」

冷やかす小林さんの言葉に

「…だっ…だから馬鹿みたいに真っ直ぐだって言うんですよ！Aさんはっ！！」

あたふたしながらテーブルの上のペットボトルの水を一気に飲み干した。

ふふっ。

そう。Aさんは綺麗なものは綺麗だと、真っ直ぐに言う人だ。

今、この空間にも

Aさんの存在がある事が

温かくて泣きそうになった。

★★★