答えられない ページ34
★★★
残りの仕事を素早く終えた。
本当はもう少し進めようと思っていたけど、待たせていると思うと落ち着かないし、
明日でも十分な仕事だから残りは後回し。
仕上げた資料を佐藤さんのところへ持って行けば終わりだ。
フロアを進みながら
コバさんとユノくんがデスクにいないことにホッとする。
「ご苦労さん！」
佐藤さんに資料を渡して踵を返した。
その時、
「…終わったのか」
目の前に片手にコーヒーを持ったコバさんが現れて、思わず持っていたペンを落としてしまった。
「…あ、はい。もう帰ります…！」
慌ててペンを拾い上げて、軽く会釈をしてコバさんの前を通り抜ける。
「御曹司が待ってんのか」
吐き捨てるような言葉にどくん、と心臓が鳴った。
「……はい」
背中を向けたまま
足も動かなくてその場に立ち尽くす。
コツコツ、と、
靴音をさせてコバさんが近づいてくる。
私の背後に止まったコバさんの
静かな低い声が聞こえてきた。
「……お前、3年前に俺に言った言葉覚えてるか…？」
…え？
3…年前…？
………あ。
「俺がお前に好きだと告白した時、お前…俺に
コバさんの事は好きだけど、そういう好きじゃないって言ったよな？
異性としての好きじゃない、って」
記憶を辿る。
「だったら…これから異性として見てくれって言った時、
好きな人を作る気はない、って
そう言ってたよな…？」
…確かに。
彼氏に2度も裏切られたことがどうしてもトラウマで。
それからはずっと男性とは一線を引いてきていた。
コバさんとは一線を引いた上で、向き合った時に楽しくて。
でもそれは
頼れるお兄ちゃん的存在で…。
「…A」
小林さんの本気の声が私を呼ぶ。
「…あの時のお前は…真っ直ぐ俺を見てそう言ったんだ。
俺がびっくりするくらい真っ直ぐに…」
3年前のあの時を思い出す。
真っ直ぐ気持ちを伝えてくれるコバさんに
きちんと答えなくちゃと必死だった。
「…なのに
どうして今は俺に背を向けたままなんだ…？」
コバさんの言葉に
心臓が掴まれたような痛みを感じた。
一気に跳ね上がる心音。
「…………」
答えたいのに
胸が苦しくて言葉が出ない。
動きたいのに
身体が強張って動けない。
何か返さないと…そう思うのに
思えば思うほど口は重たくなる。
答えられない私に
「……間違えると……傷つくのはA、お前だけじゃないんだぞ…？」
コバさんが
そう言って遠ざかって行った。
★★★
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ゆうの(プロフ) - misuzuさん» 気に入っていただけると良いんですけども…^_^; (2018年7月13日 15時) (
レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
misuzu(プロフ) - ゆうのさん» ゆうの様、ありがとうございました。コミュに返信しました。年下の恋人覗けます。楽しみです。 (2018年7月12日 16時) (携帯から) (レス) id: da5ced1827 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - misuzuさん» お声がけありがとうございます(*^^*) メッセージしましたので確認してみてください！ (2018年7月12日 15時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - nononoさん» nononoさんが一番のりですね！ (2018年7月12日 15時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - のこさん» のこさん、M限定の人生相談ですね…！もれなく、毎日のように様子を伺いにくるユノにも会えそうだ…！ (2018年7月12日 15時) (レス) id: 58e1bcc9d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2018年1月18日 12時
