昔話5…CM ページ14
✴✴✴
看取ったのはユリだった。
覚悟はしていたけどあまりにも突然で
家族は誰も間に合わなかった。
あれだけ一緒にいたのに
最期に見送ることができなくて
僕は悔しくて仕方なかったけど
せめてもの救いは
そこにユリがいてくれたこと。
母の顔がとても穏やかだったこと。
訃報が届いて急いで帰宅した僕や姉たちと違って
父は結局葬儀の日まで帰ってくることはなくて。
葬儀は身内だけでひっそりと行った。
今や時の人となった父のニュース。
本来なら大々的に執り行うべき葬儀を
まるで人目につかないようにひっそりと行なう。
まるで
隠すように…
「いやぁ…あまり表に出てくる人じゃなかったしなぁ」
「こう言っちゃなんだけどあんまり社長の助けにもなってなかったようだからな」
「結構すっきりしてんじゃないの？社長はさ」
「だってさ、秘書の方がよっぽど奥さんみたいなかんじだもんな」
「そうそう！案外ラッキー！くらいに思ってたりしてな！」
「アレだな。1年待って籍でも入れたらソレだな！」
たまたま入っていた社屋のトイレで
そんな社員のうわさ話を聞いた。
……まさか。
思わず失笑した。
……さすがにそれは無いだろう。
そう思っていたのに。
「………は？」
青天の霹靂、とはこのことか。
父が昨日まで秘書として隣にいた彼女を連れて珍しく早い時間に帰宅したかと思ったら
「彼女と結婚するから、そのつもりで」
そう告げた。
……どういうこと…？
僕の頭の中は真っ白。
「わかりました。よろしくお願いします」
姉たちは何故かすんなり納得して彼女と挨拶を交わす。
「よろしくお願いしますね、チャンミンさん」
彼女が実に華やかな笑顔で僕を見る。
僕は返事が出来ずにいた。
……何故…？
まだ母が亡くなって1年も経っていないのに…。
頭の中が真っ白で
母の葬儀の後の
社屋のトイレの社員たちのうわさ話が脳裏に蘇った。
…実は2人、できていて、待ってたのかもね〜！
…これで全く問題ないもんな！
足元から全てが崩れた。
まだ
どこかで期待していたんだ。
父と母の間にはきちんと愛があるはずだと
僕はこの日
父も失った。
✴✴✴
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうの(プロフ) - すぐりさん» 怒涛の読破、ありがとうございます笑 ユノペンから見た、チャンミン像でございます。違和感なければ嬉しいです。(*^^*) (2021年11月24日 19時) (
レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - りんごさん» うわぁ〜！りんごさん！ご無沙汰です！ごめんなさい、お返事してなくて〜！(＞人＜;)読んでいただき、ありがとうございます！ (2021年11月24日 19時) (レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
すぐり(プロフ) - 苺ｼﾘｰｽﾞ ようやっと読み進めておりまして…何でだろ…今のところ ゆうのｻﾝの作品で出てくるﾁｬﾝﾐﾝ…全部好きなんですけどぉ（T^T）あーーーー…やっぱ私はﾁｬﾐﾍﾟﾝだったーーと再確認して…更新待ちの栞を挟みます♪ (2021年11月24日 15時) (レス) @page41 id: 2b78457879 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 苺とチョコシリーズ、読ませて頂きました^^*とっても面白いです！こちらもいつか更新されるの楽しみにしておりまーす＼(^^)／ (2020年2月3日 21時) (レス) id: 468b4d31bd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうの(プロフ) - ｻﾏﾕｶさん» これ以上に進んでないのはチャラユノ話なんですよねぇ…^_^; いつもいつも、ありがとうございます。m(_ _)m 励みになります！ (2019年8月29日 16時) (レス) id: 253e460f3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうの
| 作者ホームページ：https://ameblo.jp/kanayunho
作成日時：2016年6月24日 21時
