【夢100】トロイメアを継ぐ者たち (ページ2)

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Prologue～見定める者たち～ページ2

とても、懐かしい夢を視た。

遥か遠く、誰にも知られていない場所で抗い続ける者たちの姿。

見つけ出さなければならないその場所。

姫「……準備がいいですね」

　月明かりのわずかな光だけが辺りを照らす薄暗い書庫の中で、木製のロッキングチェアがギイと鈍い音を鳴らす。どうやら本を読んでいる途中でうたた寝してしまったらしい。わたしは音もなく部屋に現れたその人物に声をかけた。『彼』は大きなため息で返事をする。

彼「世界中で例の光が目撃されてる。お前が言ってることが正しいなら、そろそろ頃合いだろ？」

姫「ええ、もうすぐかの国とあの世界を結ぶムーンロードが現れます」

　そう。もうすぐ始まってしまう。世界がわたしたちに与えた贖罪の機会。この世界を見極めるとき。

彼「お前はここに留まるんだよな」

姫「わたしはここを離れられませんから。これからどうなるかは、あなたと彼女と王子たち次第……どうかお気をつけて」

彼「…………」

　彼は何も答えずに部屋を去っていった。ひとり残されたわたしは読書灯に手を伸ばし、読みかけだった本に再び目を落としたのだった――