【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

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釈然としない思いのまま、与えられた服に着替えをすませたAが、試着室のカーテンを開ける。

「……着替えたアル」

「わぁお客様、先程のお召し物も似合ってましたけどこちらもよくお似合いですねー！
いかがですか？」

そばに待機していた店員がお決まりの褒め文句を述べた後、沖田の方を見る。

「これ買いやす」

Aを正面からしばらく眺めた沖田が、そう告げた。

そのまま着ていけるようにと、店員に値札のタグをとってもらう。

「お二人はこれからデートですか？
お似合いで羨ましいです〜」

「へェ、まァ」

沖田が会計している間、Aはそっぽを向いていた。

「楽しんできて下さいね！
ありがとうございましたー！」

「どーも」

「……ありがとでした、アル」



お店を出て、改めて遊園地に向かい始めたけれど2人の間では無言が続く。

「さっきからなーにむくれてんでェ」

特に着替えた後辺りから口数少なく黙り込んでいたAを見かねて、沖田から声をかけた。

「なんで急に着替えさせたアルか」

「別に、何となく。
新しい服プレゼントしてやったんだ、有難く思いなせェ」

それを聞いたAは、キッと眉を吊り上げる。

「だったら元の服に着替えてくるアル！」

「待てよ。
なんだよ、その服気に入らなかったか」

「そういうんじゃないネ。
そーごこそ、褒めてくれたと思ったのに
やっぱり似合ってなかったってことアルか？」

そう、沖田を見るAの顔が今度は悲しそうに歪んだ。


「ちげーよ、嘘はいってねェ」
「じゃあなんでアルか」

「ただ気に食わねーんでい」
「なにが？」

「……」
「着替えるアル」


「……あーアレだ、第2の願い消費でいいから。
だからこのまま着といてくれ、頼む」

Aは沖田が見せた特殊な態度に少し考えて、服の裾をつまんでみせた。


「こっちも、似合うアルか？」

「……ああ、むしろ俺ァそっちのが似合うと思うぜ」

それを聞いたAは、笑顔を取り戻す。

「しょーがないアルな、
お前の2つめの願い、叶えてやるネ！」



そして歩く先に、遊園地の入り口が見えてくる。

「ヒャッホー着いたアルー！！」

それに向かって、Aは一目散に走り出した。

取り残された沖田は。




「俺とのデートに、他の野郎からの贈りモン身にまとってるのが気にくわねェ、なんて簡単にいえねーんでィバカチビチャイナ」



ボソリと呟いて、入口付近で早くーと手を降ってせかすAの後を歩いて追いかけた。

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