奇特なアイツの3つのお願い ページ19
「むーん……」
ここは万事屋、机の上には大量に積み上げられた酢昆布。
それを前にして、Aは1人唸っていた。
するとそこに、近所への野暮用をすませつい先程戻ってきた新八が近づき、声をかける。
「ただいま、Aちゃん。
あれ、銀さんはまだ戻ってないのか。
って、何この酢昆布の山は。また持ち金ぜんぶ酢昆布に換えちゃったの?」
それにしたって多いな、とAの財力と釣り合わない数に疑問を持ちつつ、
見ているだけで口の中が酸っぱくなって唾液が過剰分泌される酢昆布達を眺めていれば
「これ、そーごからもらったアル」
Aが答えた。
「えっ、沖田さんがこれを全部?
それって真選組マスコットの時みたいにまた何か引き換え条件があるんじゃ……」
「それが、何もないのヨ。
聞いてみたけど、お前の好物だから、って……」
新八には贈り物にタバスコを仕込んだり、代わりに対価を要求したりする沖田しか想像がつかない。
「あの沖田さんが何のウラもなしになんて考えられないや……なんかすごく、めずらしいね」
「そうアルな!?」
「ウワッ」
Aが突如勢い良くグリンッとこちらを向くものだから、新八から驚きの声が漏れる。
「その時はスコンブキャホーイって嬉しかったけど、よくよく思えばおかしいアル。
そもそも、これだけじゃなくて……最近のそーごは何か変ネ」
Aによると、ここのところ沖田はどうにも妙なんだそうだ。
例えば、街中でばったり会った時なんか以前は必ずと言っていい程
からかわれたりむっとするようなことを言われたり、たまに意味もなくほっぺたをつねられたり、いつもギャーギャー言い合っていたのに。
今は、絡まれなくなったということではなくて、やっぱりからかわれたりもするけれどAが怒りだす程のものではなくて
Aがお腹を空かせていれば何か食べさせてくれたり、たまに簡単な依頼を手伝ってくれたりそして今回好物の酢昆布をくれた。
つまりは、沖田が優しくなったのだ。
かといって土方や周りへの対応は特に変わらず、どうやらそれはAに対してのみらしい。
勿論、優しくされるのに超したことはない。
でもそれが沖田だから、素直にとっていいのか疑う心が出てくるワケで。
つまり、「人に優しくした時に思われることって、日頃の行いによるよね」ってことだ。
うーん、2人で首を傾げたあと、新八の
「何か企んでるとかじゃないといいね」
この言葉を最後にこの話は終わった。
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ぽてうさ(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます!!書いててよかったってなる嬉しいお言葉です(*^^*)近い内に続編も公開予定なので少々お待ち下さい! (2020年5月2日 11時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すっごく面白いです!早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい!応援してます♪ (2020年5月1日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - ついに総悟さん行動にでました(°口°)こちらこそありがとうございますです_|\○_ 作者としては優しい沖田総悟を書くのが難しくて苦労してます笑 (2020年4月7日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音(プロフ) - 総悟ぉぉぉーーーーーΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)すみません荒ぶりました← 何だろう…何か…もう…ほんとありがとうございます(((語彙力 (2020年4月7日 21時) (レス) id: 737011c58c (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - 至恩さん» 久しぶりとなってしまった更新で、こんなコメント貰えるなんて本当に嬉しくて続きを書くモチベがぐんぐん湧いてきます!ありがとうございます(●´ω`●) (2020年3月14日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてうさ | 作成日時:2019年2月6日 19時