【朔間凛月】again (ページ1)

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はじまりの夜ページ1

「スオ～が人質にされた」

王様に集められてきてみれば、そんなありえない内容だった。
集められたのが夜と言うことだけあって、俺も目が冴えている。
けれど王様のその言葉に突っ込む気にはなれない。

「珍しくあんたが焦った顔してたから来てみれば……。なに？上のとこで頭打ったわけぇ？」

セっちゃんも呆れたように肩をすくめる。
ナッちゃんはそんなセっちゃんを見て珍しく同意するように頷いた。

そして最も困惑しているであろう中央にいる赤い髪の毛を見る。

「なにをおっしゃっているのか分かりません。私ならリーダーの目の前にいるではありませんか。」

そう、スーちゃんはここにいる。人質として捕らわれているわけではない。
自分の手元にいるちゃんといる末っ子。だが、王様の表情は珍しく硬かった。

「さっき、報告書出しに上に行ってきた」
「あら、珍しい」
「最近仕事無かったから怒られた」
「王様がもっと仕事持ってきたらいい話なのにねぇ」
「ナルもセナも黙ってて！！」
「本当に珍しいわねぇ」
「はいはい」

犬が威嚇するようにがるると唸る王様

「それで？」とセっちゃんが先を促すと、不貞腐れたようにそっぽ向いた。

「おこられた……。いや、別にそれはいい！俺が悪かった！許してくれ！！ってアイツに素直に言えばいい話だから。いや、でも頭を下げるのはセナか！！いつも俺が怒られたとき、一緒にいてくれるもんな！わはは！！愛してるぞ！！」
「いいから進めて」

短気なセっちゃんはこめかみがぴくぴくしている。

さっきから話がぜんぜん進んでないし、もう寝ようかなぁ。別に夜でも寝ようと思えばぜんぜん寝れるし。

枕を引っ張ってきて横になろうとしたとき、王様が大声で言った

「で、今回は何故か許してくれなかったあいつが条件を出してきた！！これをこなさないとスオ～を社会的に抹消するって！！」
「「はぁ！？」」

セっちゃんとスーちゃんの声が重なった。
寝ようとするのをやめて、俺もやっとその会話に参加する。

「王様ならまだしも、スーちゃんが消される理由はないでしょ」
「凛月先輩の言うとおりです！どうして私が巻き込み被害を食らうことになるのでしょうか？納得できません！」
「巻き込み被害……。いいな！そのフレーズ！！インスピレーションが沸いてくる！！あぁ、今すぐこのメロディーを書き留めないと！」
「リーダー！私の命がかかってるんですよ！？真剣に！最初のように落ち着いて条件とやらを教えてください！！」