【ツイステ】式の日【デュース・スペード】《完結済み》

11話 ページ13

「親父さんと俺、学生時代の恋人でさ」

「……」

「昔は色々あったなぁ……パパ格好よかったよ。あんま興味ないかもだけど、昔の写真あるから今度3人で見ようね」

「キスした？」

「……したけど」

「どうだった？」

「……き……俺は……なんて答えるのが正解なのか」

「そのままで」


縁側でお茶を飲んでいる子どもの背中は、丸っこくてなんとも可愛らしい。答えに窮していても、それは変わらない。


「……嬉しかったね」

「……そっか」

「ドキドキしたしね。なんかちゃんと、恋人ってどういう関係なのかっていうのを改めて知れたっていうか……実感が湧いて、好きだなって思えたかな」

「ふーん……」

「……恥ずかしいからパパに言わないでね」

「うん」

「まあ言っちゃってもいいけど、恥ずかしいからできれば言わないで」

「うん」


子どもをどこまで子ども扱いすればいいのかは、すごく難しい気がしてきた。俺がこの歳の頃どういう対応をされたかったかをなぞっているが、この歳の頃にこんなことが起きた経験などあるはずもなく。


「今も好き？」

「今……今は……友達としてはちゃんと好きだけど、恋人としては少しも好きじゃないかな。キスしたいとか思わないし」

「ふーん」

「……」


自分がそう答えるので、前はキスしたいと思ってたのか？と記憶を漁る作業に入った。以前は──思っていたこともあった。気持ちが離れているのが目に見える時とか、俺以外のことに集中しすぎている気配を感じると、俺は口をつけて、気持ちをこちらに引きずり戻してやっていた。そうするとしばらくは言うことをよく聞くから。それの延長線で、恋人らしい様々なことをしていた。言うことを聞かせる為に。

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