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「息苦しい、息苦しいよ」
それは、酒の回った母の口癖だった。赤ら顔で、毛穴の浮いた顔に涙を流して、彼女は笑うようにそう言っていた。
都心から2時間半、最寄り駅まで歩いて30分のこの街は良くも悪くも静かだ。いつかの名残の商店街は入り口と出口に数軒まだ稼働している店がある程度で、テナント募集の張り紙すら朽ちかけており、掲示されている電話番号に酔った勢いで面白半分に電話した際、存在しない電話番号として繋がらなかったのを覚えている。
街の1番メインの部分がそうなのだから、そこに隣接した住宅街跡地──山と隣接している──には荒れ田が必ずセットになっており、未だどれくらい人が住んでいるのかもまるでわかったものではない。
20年前、ここはもう少しちゃんと──住宅街と躊躇なく呼べた程度には──住宅街であった。
田舎にありがちな前時代的価値観、村社会、厳重な監視体制に、噂噂噂。新参者に対する敵意に、母の心はすり潰されていた。
かつてここでは珍しかった、ちゃんとした職を持った、社会に出たことのある女性であったということが、一つ他の女たちから敵意を向けられる原因であったと見て間違いないだろう。娯楽のないここで、共通の敵に対して一致団結する展開。さぞ楽しかったことが、興が乗ったことが想像に容易い。
デュース・スペードから連絡が来たのは2日前の夜のことだった。
��A、助けてくれ��
�犧�、娘と一緒に車でパーキングエリアに居て��
�狄�場も実家もダメだ、お前しかいないんだ��
「……おいゴミ親父、お前は腹減ってねえのかよ」
「……減ってない」
「あっそ。まあなんでもいいけど。俺マジでお前のこと本当に心の底から軽蔑してるし大っ嫌いだし、なんなら苦しんで死んでくれーって思ってるし、学生時代と同じ立ち回りとか間違えても求めるなよ。黙って感謝だけしてろ。お前がゴミなのとお前の娘関係ねーから仕方ねーけどマジで微塵も許してねーよ」
「……本当にありがとう」
ここの他に当てどころのなかったというのは本音らしく──軽くジャブを打ってやってもデュースは多少安心できた、という表情を変えない。
「……本当に、返す言葉もないんだ」
「なら一生黙ってろ」
──学生時代、俺と恋人関係にあったデュース・スペードは。俺と同棲しながらお互いバイトと勉強に明け暮れていた時、バイト先で出会ったという女に半ば無理矢理──されたとかで。ガキができたと。その女とあっさりそのまま結婚しやがった。
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功徳(プロフ) - くずきりさん» わーい‼️全部読んでくださってる……いつもありがとうございます🥰今後ともよろしくお願いします💦 (11月10日 22時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
くずきり - 初コメ失礼します、語彙力イカレてますがぶっ飛びそうな位好きです。主可愛くて愛おしいしスペード可愛い極まりないのに最後でうわ〜て感じ噛まして来て、結局お互いの事も自分の事も一番みたいな…作者様の作品全部好きです応援してます、今後とも応援させて頂きます！ (7月28日 22時) (レス) @page47 id: cd8b5937a1 (このIDを非表示/違反報告)
功徳(プロフ) - ？？？さん» ありがとうございます！よかったです！嫁との仲直り（気色悪い隠語）はさぞかし優しくて愛情を感じるものになったと思ってます（でも結局夢主が最終的に結婚を認める形式で浮気を最初に許容したのが悪い） (5月29日 17時) (レス) @page50 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 初コメ失礼します。作者様の作品に一目惚れし、バットエンドやシリアスが好きになった者です。最後の最後にデュースが爆弾をぶっ込んで来て、頭を抱えていても立ってもいられなくなりコメントしました。作者様の書く小説が大好きです。失礼しました。 (5月28日 23時) (レス) @page50 id: fb57b657b4 (このIDを非表示/違反報告)
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