私と兄とお友達【USSS】

ななじゅうろくわ ページ28

坂田「包丁出来るようになってきたなぁ」



「ねー」



坂田「上達早いなぁ」



「いいお嫁さんになれそ？」



坂田「…それは早いです」



「あはは、ごめんってー！動きづらいよぉー」



怪我をして以来、さかたんはすぐ甘えてくる



私からいくとたじろぐ癖に、めちゃくちゃ自分からくる



呼び方も、お兄ちゃんって呼ぶとちょっと寂しそうな顔をする



なんだかんだお兄ちゃんもさかたん呼びを気に入っていたんだと思うと、恋をしていた頃の自分も報われると思った



[ピンポーン]



「あ、さかたん出てっ」



坂田「ういーす」



小走りで玄関に向かうさかたん



坂田「あれ？うらたさんじゃん！」



「！」



さかたんのよく通る声で馴染みの名前が聞こえて、包丁を置いてすぐに玄関に向かう



「うらたさん！」



うらた「…よ、っす」



坂田「なあしたん？あ、え、なんか約束あったっけ…！？」



「嘘でしょさかたん」



うらた「！…いや、別に。…今日差し入れでお菓子貰ったからおすそ分け」



坂田「え！？まじで！？」



「えー！…うわっ！マカロン入ってるよ！！」



坂田「やば！！めっちゃうまそう！！夕飯のあと食べよ！！」



「うん！」



うらた「…じゃ」



坂田「え！？上がって行かんの？」



うらた「いや、邪魔だろうし」



坂田「今日Aの作ったご飯やで？」



うらた「…いいの？」



ちらりと私を覗くうらたさん



「もちろん！！うらたさんにも食べてほしいな！」



うらた「じゃあ、お言葉に甘えて」



坂田「あーい、いらっしゃーい」



私はキッチンに戻って、さかたんはもらったお菓子を漁って



うらたさんは私に駆け寄ってきて、さかたんに戻したんだ。と一言呟いた




振り返って見た横顔は、どこか悲しそうに見えた

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