▼ ページ26
冷たくて凍えるような空気が流れる。
一人ぽつんと置いてかれた気分になった私は、え?なんで?と敦君に問い掛けたが、気まずそうに目を逸らされた。
この生意気め
「……知らない…んじゃないかな…」
言葉に迷いのある谷崎君に太宰さんが嘲る様に目を瞑った。
『この場にいる人達だけが知ってる…っていうのじゃ駄目なんですか?…この場って云っても結構な人達ですけど』
「ぼ、僕はそれでいいと思います!!うん、Aさんだし」
「妾はバレた時の方が怖いけどねぇ?っていうかすぐバレるだろうし」
「私もそう思う。寧ろ自発的に相談してしまった方がいいかもしれないよ」
『…なんでそんな乱歩さんの事気にかけるんです?』
与謝野女医にそれ正気かい?と云われた。少し悲しい。
皆は私が乱歩さんからどんな扱いを受けているか知らないんだ。小説に入ってから態度は悪化しているし!
お見合いするなんて云ったらどんな事をされるか
きっととことん邪魔されて売れ残った私を笑って愉しむに決まっている。
まぁ勿論私の思惑は無視されて、私からしっかり話すという事に決定した、らしい。
半ば会話から置いてけぼりだったので、改めて手紙に目を通すと、その熱量に圧倒された。少しばかり素敵な人に見えてきたような気がする。
「何?なんでそんな騒がしいの?何それ」
『げ、乱歩さん』
「丁度いい所に来たねェ、Aが手紙を貰ったのさ」
『あ、そんなあっさり云っちゃうんですね…?!』
手紙〜?と私の手元にある紙を覗き込もうとしたので反射的に後ろに隠す。
ちょっと待ってくださいね。順序を踏みたい。
「…それ、何、僕に隠したい事?莫迦な君では無理だろうけど…当ててみようか」
『ちが、心の準備をさせて下さい!!』
「まず社宛で君をご指名の手紙だね?皆でひそひそするって事は少しデリケートな話。ただマイナスな事では無い。そうだな…考えられるのは」
『わかった!わかりましたから!』
「じゃあ話して」
ぱっちりと合う私の苦手な翠の瞳。横から太宰さんの苦笑いが聞こえる。
この俺様乱歩様め…
『……お見合いの話が出たんです。』
「…そんな事だろうとは思ったけど。手紙貸してよ、僕が捨てておく。」
『だ、駄目ですよ!?』
「Aの事だから断るだろ?そんなの持ってたら毒だよ」
『毒って…、太宰さんがその、私を想ってくれてる人に違いないって言ってたので、少し、興味はあるんです』
800人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時