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少し遠くを見据えてからまた屈託のない笑顔をこちらに向けて楽しそうに口を開いた。
「ま、今日の行いだけ見れば私は天国行きだね〜!」
『何かされたんですか?』
「君を探偵社まで送り届けた事だよ!」
パチンと音が鳴る様なウインクをして勢いよく指を指したかと思うと、そこはもう探偵社の目の前であった。
訳の分からない会話をしているうちに仕事が私を迎え入れてくれるらしい。少し複雑。
『それはありがとうございます。でもこのままちゃんとお仕事しないとそれこそ天国なんて行けないかもですよ?』
「Aちゃんは真面目だねー!!私は素敵な部下を持つことが出来て幸せだ…是非とも私と心中」
『しません!行きますよ!』
無理やり外套の紐を引っ張り、嫌がる太宰さんを引き摺る。
正直こんな面倒臭い事をしたくは無いのだけど、後々の国木田さんの事を考えると涙が出そうなので、私の一苦労など惜しくは無い。
やだー!だの変態ー!だの喚く太宰さんに青筋を立てながらも、建物の中に入る、そんな時だった。
『ちょっと太宰さん!段差あるので歩いてください!危ないですよ、ほら前に』
「ばぁ!!!!!!」
『うわっ!!!』
朝よりも幾倍も大きな声を上げて太宰さんの上に倒れ込む。
下の方から潰された蛙の様な声がする。
「え、何やってんの?」
いかにも探偵という風貌をした彼はわざとらしく首を捻る。それどころか一寸引いた様な眼差しを当ててきた。
『い、痛〜い…朝の傷が…腰が…』
「乱歩さん!おはようございます。今日もいい朝ですね」
「うん。それより太宰、…あぁA起こすか」
自分が思った以上に驚いてしまったのか腰が抜けてしまい、二人が能天気な会話をしている間で小さな悲鳴をあげていた。
どこか満更でもなさそうな太宰さんを睨みつつ、しゃがみこみゆっくり手を取ってくれる乱歩さんに身を委ねる。
「100点な反応だったなA!これからも精進するように」
『あんまり頑張りたくない進路です…』
「まぁまぁAちゃん!ということでまた後で!」
『あ!』
「あぁ」
あれだけ頑張って引き摺ってきた獲物を逃がしてしまった。一生の不覚である。ただ、追いかける様な力も入らず、呆気なく過ぎ去る背中にため息を着くことしか出来なかった。
腰を擦りながら、くっ!と声を上げると乱歩さんに鼻で笑われた。
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時