その背中に触れたい【虎杖悠仁】

7.空いた時間を埋めるように ページ8

体育館で自主練をしていると
気づけば日がかなり傾いていた


(悠仁は荷解き終わったかな)


まだ終わってなければ少し手伝おうと
お風呂に入り男子寮へ向かった


悠仁の部屋がどこなのかラインできこうと携帯を開いた途端、ドアが開き目的の人がでてきた


「お！A！
今そっち行こうと思ってたとこ」

『あ、ほんと？
部屋はもう片付いたの？』

「うん、大体終わった！」


自然と肩が並び、廊下を歩く
いつもこの肩が触れるか触れないかの距離にドキドキする


「ここの学校敷地すげえでかいよな」

『うん。月が出た夜とか結構雰囲気良くてさ
よく敷地内散歩してる』

「お、いいなそれ！今日月出てるかな？」

『さっき見たらでてたよ！三日月！』

「まじか！外いこーぜ！」


スニーカーに履き替えて敷地内をぶらつく



「そーいや俺Aに話しておかなきゃいけないことがあってさ…」


悠仁が急に神妙な顔つきで言うから
つい身構えた


『なに？』

「実は昨日、じいちゃん死んだんだ」

『え…？』

「じいちゃん、Aのこと可愛がってたし
Aには、伝えとくべきかなって思って」

『…そっか……』



おじいちゃんは
悠仁のたった1人の家族だ


(そっか…居なくなっちゃったのか…)


そんな時に呪物飲み込む事態になって
東京に来ることになるなんて



『辛い時にごめんね…
教えてくれてありがとう。』

「いや、いいんだ俺は
ちょっと寂しかったけどさ！」

『うん。』

「今度墓参りでも行ってあげてよ」

『もちろん、必ず行くよ。』



悠仁はいつもこうだった
自分が辛いことに直面しても
それを人に見せないんだ

大切な人が居なくなって
周りの環境も変わって
そんな時に、私にできることは無いとしても
そばにいれてよかったと心底思う

私がそうだったから…





しばらく歩くと鳥居がずっと続いてる階段があり
そこに2人並んで腰掛けた


「それにしても、Aが呪術師なんてなー
全然そんなそぶりなかったから
今までまじで気づかなかった…
なんか、悔しい。」

『はは、ごめん黙ったりして』

「いつから目指してたんだよ」

『一応小学生の頃からお父さんに稽古つけてもらってたかな…
でも本格的に目指そうって決意したのは中学』

「へえ〜〜。今考えてみれば色々納得いくよ
Aの家でかかったし、父ちゃん怖かったし」

『いや、呪術界でもっと有名な家と比べたら
あんなの全然小さいよ…』

「え、あれでかよ！」

8.思い出→←6.理由

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す