その背中に触れたい【虎杖悠仁】

6.理由 ページ7

「またAと一緒に学校通えるな！」

『…！うん！』


可愛い笑顔を浮かべて
嬉しいことを言ってくれるけど


『でも、なんで急に…
その傷もどうしたの？』


前はなかった悠仁の目の下の傷に
そっと触れると肩をびくつかせたから
こっちも驚いてしまった


『あ、ごめん！痛かった？』

「あ、いや、痛くはないんだけど…」

『…？』


心なしか目が泳いでる悠仁を横目に
昨日の任務で何があったのか
五条先生が簡潔に説明してくれた





『えっ！？宿儺の指を食べたの…！？』

「あはは…」


悠仁は笑っているが
全然笑っている場合なんかじゃない


『体は、何ともないの…？大丈夫なの？』

「あーまあちょっと頭の中のあいつの声がうるさいけど、大丈夫だよ」

『よ、よかった…
よかったけど、特級呪物に耐えれるなんて…
ていうか、食べたらまずいんじゃ
処刑対象になっちゃうんじゃなかったっけ…！』

「そこはまあ、僕の力でなんとかね」

『…五条先生さすがというより
先生がちょっと怖くなってきました』

「いやいや、これでもかなり頑張ったんだよ？」


(頑張って何とかなるもんなの…？)




心臓に悪いことを一気に聞かされ
気がどうにかなると思ったけど
色々疑問は残りつつ
大まかにはわかってきた

ここに通うということは
悠仁も呪術師を目指すということだ


また悠仁と同じ学校に通えることは
凄く嬉しい



けどほんとは
悠仁に、この世界に来てほしくなかった


悠仁が大切で、大好きだから

この残酷な世界を知らないでいてほしかった

いつも通りな生活を送って

ありきたりな幸せを謳歌していてほしかった



私はそれを守っていたかったよ、悠仁





『止めてしまってすみません。
校内の案内中でしたよね！』

「全然いいよん
感動の再会果たせてよかったね」

「A、じゃあ後でな！」

『うん！』


五条先生に連れられて
こちらに手を振る悠仁に
私も小さく振り返した





なぜ悠仁が宿儺の指を食べることになったのかわからないけれど、決まったことはもう変えられない

私のすることは依然として変わらない


悠仁を守りたい。

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