その背中に触れたい【虎杖悠仁】

3.会いたい ページ3

と、まあ
４月の時点では何も知らなかったから
リスペクトを全面に出していたけれど

いや今もリスペクトはしてるけど

2ヶ月経ち、五条先生の人柄が
何となく掴めてきた




『先生！私も仙台に行きたいです！
仙台の任務私にやらせてください！』

「だーめ！
A、地元に帰りたいだけでしょ？
会いたい人でもいるかわかんないけど
そういう理由は認められませーん」

『うっ…、帰りたいだけじゃ、
任務中は任務に集中しますよ！』

「ただ回収してくるとはいえ、特級呪物だ。
今回は恵に任せて、Aはこっち」


私の言葉を横流しに
渋谷で発生した呪いを払う任務の方を指さす


『うぅーー伏黒ーー！
かわって、お願い、まじで、お願い！
このとーり！』

「五条先生が決めたことだ、俺に権限はない」


隣にいる伏黒の前で手を合わせて懇願するも
期待してた返事は返ってこない


『うぅっ、もう、わかりましたよ！！
三級だか二級だか知んないけど
綺麗さっぱり祓って来ますよ！！！』


「そうそう、その心意気！」




仙台市杉沢第三高校にある
特級呪物を回収してくる任務

悠仁の通ってる高校だ


任務ついでに少し会えるかなと思ったのに
その任務は伏黒に割り振られて
私は東京渋谷区に発生した
呪いを祓わなければならない


(久々に会いたかったな…)




悠仁とは今も連絡は取り続けてて
オカ研に入った話とか
最近のおじいちゃんの様子とか
課題がめんどくさいとか

近況報告や、他愛無い話をしていた


ただそれだけでも
私にはとても特別なものに思えた


会いたい気持ちは日々増していくばかりだけど
恋人でも何でも無い私に
泣きながら会いたいなんて言えるわけもなく

ラインでのやりとりや、一緒に撮った写真を見返しては、枕を濡らす夜を何度も過ごした




(会いたかった…

会いたかったけど
またすぐ東京に戻って来ないといけないし
今会ってしまうと、何か
張り詰めてたものが崩れそうでいけない気がする…)





これでよかったんだと言い聞かせて
斬鉄剣を携えて

自分の任務に向かった

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