貴方と共に果たす復讐【荼毘】 (ページ8)

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弔 side

それは突然の事だった。

AFO「弔、明日、君の妹が来るよ」

弔「...は？」

意味がわからず、一瞬思考が停止する。

先生曰く、可哀想な子を見つけたので明日ここに連れてくるということらしい。

歳は弔の5つくらい下かななどと言っているその顔はとても機嫌が良さそうだった。

正直俺はそんなこと心底どうでもいい。

別に関わらなければいいだけの話だ。

そう思っていた。

『よ、よろしく、お願いします...』

今日から俺の妹だと紹介されたAは、歳の割にはしっかりしているように見えた。

いや、しっかりしすぎていると思った。

小さくても小学校高学年、中学1年くらいか？

声が震えているが、それは緊張のせい。

俺がこんな格好だからだろう、それくらい予想はつく。

だが、それだけだった。

Aの目からは恐怖心を感じなかった。

何も思わないのか、それとも押し隠しているのか。

俺は少しばかりこの餓鬼に興味を持った。

先生がいなくなったあと、沈黙を挟みつつもいろいろと話をした。

俺のことを"弔くん"と呼んでくれた時は自然と笑みが溢れた。

それから、Aの家庭事情を聞いた。

見せてくれた腹の傷はその激しさを連想させるには十分すぎる程だった。

俺が首を引っ掻きだすと慌てて止めようとしてくる。

しかも俺の過去のことを話すと、心を痛めたような顔をして頭を撫でてくる。

驚いたが、心地よかったので続けるよう言った。

こんなにも優しいのに何故ヒーローは暴力を振るったのか訳が分からず、再び首に手を伸ばそうとしたが

Aがまた焦り出すだそうなと思いなんとか止めた。

Aは個性を持っているのに親のせいで無個性として扱われてきたらしい。

長らく使っていない個性の特訓を提案したのは俺だった。

自衛のためにも、わかっておいた方がいい。

そう思い提言したのだが、Aの個性は危うく人を殺しそうなくらい強力なもので。

弔「...できるだけAには人を殺してほしくない」

気づけばこんな言葉が口から出ていた。

先生に引き取られてヴィランとなった以上、それは難しいかもしれないが俺は切実にそう思った。

Aは大丈夫だよと優しく笑いかけてそう言ったが、俺にははっきりと聞こえた。

それは、見逃してしまいそうな小さな声で短い言葉だったが、あまりにも持つ意味が大きすぎた。

『＿＿＿＿今は、まだ』

弔 side 終