貴方と共に果たす復讐【荼毘】 (ページ2)

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ﾄﾞﾝｯｯ

『』

いつものように父親に壁に投げつけられる。

そしてそれを黙っていつものように見つめる母親。

そう、いつものこと。

私の両親はヒーローをしている。

どちらも事務所には所属していない個人で活動しているヒーローだが、

街の平和のために毎日一生懸命働いている。

そのため両親は朝早くに家を出て、夜遅くに帰ってくる。

＿＿私が物心ついた時からずっとこうだった。

朝起きれば両親は既に出勤していて、家にあるもので適当に朝食を済ませる。

そのまま1人で1日を過ごす。

学校がある日は、例え具合が悪くても休まずに行く。

夜は親が帰ってくるまで寝てはいけない。

もし帰ってくる前に寝てるなんてことがあれば、

「おい！何寝てんだ！！！」

と叩き起され、また体に新しい痣を作られる。

まあ、起きていても暴力を振るわれるのに変わりはないが。

そんな生活を繰り返して早12年。

長年の経験せいか、とっくの前に痛みに対する耐性は備わっていた。

今では暴力を振るわれても何も感じなくなった。

『あーあ、また傷増えちゃった』

両親が眠りについたのを確認してから、自室の電気をつけて今日新たにできた傷を見る。

学校があるので顔には何一つ傷は見当たらないが、服を捲れば大違い。

腹から脇腹にかけて大きな切れ目、それを筆頭にいくつもの痣と傷。

それは腹部だけに留まらず、腕や太腿、胸にまで広がっている。

『明日も長袖かぁ..。いい加減もう暑いんだけどな』

今は6月中旬。

そろそろ暑さが強くなっていて、周りには半袖を着始める子もいる時期だ。

私の学校での立場は

｢いつも長袖を来ている"無個性"の変な子｣

というものだった。

親がヒーローということもあり、いじめこそないが、私に近づこうとする人はいない。

でも、仲のいい友達がいないおかげで傷や痣が周りにバレずに済む。

バレたらまた暴力振るわれるだろうし。

いつまでこの生活が続くのかな、と思いながら私は寝た。

近いうち、この生活に終止符が打たれることも知らずに。