橙と私

#31 ページ31

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きょうの撮影がはじまる。



昨日と同じように、眺めたり、手伝ったり。






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昨日よりもみんなと打ち解けて


合間やお昼も楽しく話せるようになれた。






でも、肝心のてつやくんは





わたしに全然話しかけてこないし、


そんな素振りされたらわたしからも話しかけにくいし。





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り「てつやと話さないの？」





撮影が終わってだらだらしている時間に


コソコソ話しかけてきたりょうくん。





『なんか・・うん。』





昨日はてつやくんとしか話してなかったってくらいなのに

今日は全く逆だったもんね。そりゃあ気付くよね。





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り「思い切って話しかけてみればいいじゃん。」





てつやのこと好きなんでしょ？と耳元で言われて



顔が熱くなってしまうのが自分でも分かる。






『ちょ、やめてよもう・・』





本人に聞こえちゃったらどうすんのさ・・






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スタスタどっかに歩いていくりょうくんを目で追いながら

ぼーっと考える。



てつやくんになんて話し掛ければいいの？

どうやって話し掛ければいいの？






こういうときに

自分の恋愛経験の少なさに悩まされる。





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「大丈夫？めっちゃ眉間にしわ寄っとるけど。」





『・・へ、？あ、ううん、べつに、』





急に話しかけてきたてつやくんに動揺を隠せない。






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り「Aちゃん悩み事でもあんのー？」





そんなニコニコ見ないでよ。


・・ってかりょうくんのせいじゃん。






『いや、別に悩んでなんか・・』




り「我らが東海オンエアのリーダーてつやくんに相談してみたら？」





・・・え、ちょ、





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恐る恐るてつやくんの方を向けば


んー？と片眉を上げてこっちを見ている。





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『いや、えっと、別に悩み事とかじゃなくて・・』





「・・そう？そんな風には見えんかったけど。」





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悩みの種はあなたです、なんて言えるわけないじゃん。






どきまぎしているわたしを不思議そうに見ながら


わたしの隣に腰を下ろす。






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こんな状況にした張本人はどっかに行って


いつのまにか2人の空間になってしまった。




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聞こえちゃいそうなくらい、胸がうるさい。





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「んー、恋とか？」




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『え、？』





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