マンハッタン ページ6
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梶「どうしたの、そんな暗い顔して」
白いシャツに明るめのジーパン。丸メガネをかけ、口はマスクでしっかり覆っている。優しげな声に心配の色を含ませたこの人は……大天使、梶裕貴さん。
「天使……」
梶「それは君でしょ」
「あぁ、あれか……。見に来てくれてたんですよね。もう何年経ちますかね。その説はありがとうございました」
梶「チケットもらったからね。それにふたりのお芝居興味あったし」
「梶さんにそう言って貰えるなんて嬉しいかぎりです」
梶「………どうしたの、素直にお礼なんて卯月らしくなくない？」
「私をなんだと思ってるんですかw お世話になったらありがとう。失敗したらごめんなさい。それくらい私でも出来ますよ〜」
梶「やっぱ変だ」
「……ちなみに、どのへんが？」
梶「なんか、輪にかけて嘘くさい。……無理してる？」
梶さんは周りの空気や表情を読むのがうまい。
若い人が多い現場だと先導して話を降ったり、声掛けをする。先輩が多いとその人を起て、同い年だとツッコミに回る。間やその時必要な行動をすごく考えて、的確に自分のしなければいけないことを判断する。
そうゆうところ、少し拓也に似ているからたまに頼ってしまいたくなるんだ。
「あはは、さすが主役さん、よく見てますねぇ」
梶「なんかあった？話くらい聞くけど」
普段あれだけいじってるのにこういう時いつも手を差し伸べてくれる。相変わらず生まれながらの主人公だよ。
「じゃあ、私とでーとでもしてくれますか？」
梶「………」
困らせてしまった。私に恋人がいることを知っているんだろう。
「すみません、冗談です。ほら行きましょ」
梶「………分かった。収録の後ロビーで待ってて」
「え、ちょっ、梶さん？」
スタスタと歩いていってしまった梶さん。ひとり取り残された私は「えぇ……」という戸惑いのため息をもらし、ゆっくりと歩き出した。
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作者名：ななき。 | 作成日時：2019年5月7日 20時
