四月の天使に叶え【江口拓也】

フレンチコネクション ページ30

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櫻/晃大『ねえ、結一(ゆいち)。これそろそろやばいと思うんだけど……』

結一『そうだね〜。これはちょっと、ピンチだね〜』

梶/亘『遅れてすみません。どうしたんですか、先輩がた。何か困り事でも？』

櫻/晃大『亘(わたる)。……ちょっと部費のことでね…』



良/輝生『うん、うんうん。おっけー駅前でね。了解部活終わらせてすぐ行くね♪じゃまたね、れみちゃん』



梶/亘『部費？部費なんていつもないじゃありませんか。今更何を』

結一『たしかに運動部の方達でいつもこちらに回ってこないけど、そういうことじゃないんだよ〜』



良/輝生『もしもしみずきちゃん？……うんん、用事ってわけじゃないんだけどちょっと声が聞きたくなってね……？』



梶/亘『そういうことじゃない……とは？』

櫻/晃大『実は、毎年恒例夏休みの文化部合同合宿が中止されるかもしれないんだ……』



良/輝生『あっ、あいちゃん？最近構ってくんなくて寂しかったよ。いまなにしてんの？』



梶/亘『なんだって！あの歴史伝統ある合同合宿が？どうしてなんです！？ なにかトラブルですか！』

櫻/晃大『今までは文芸部OBである鳥丸さんが経営する旅館のはなれに、ご好意で泊まらせて頂けていたんだけど、この間の台風で……ね』



良/輝生『何言ってんの、りんこちゃんのその声だいすきだよ？ 放送部の俺が言うんだから間違いないって！』



梶/亘『あああそこ、昨年の時もだいぶガタが来ていましたもんね……。
…………それはそうと財前(ざいぜん)！貴様さっきから会話の間間に入り込みやがってどういうことだ！今は会議中なんだから携帯をおけ！』

良/輝生『…ちっ………あーごめんね？ちょっと同室の男がうるさいから切るね。…その分今夜電話するから、待ってて。うん、バイバ〜イ。
……ちょっと亘、女の子と電話中に話しかけてこないでって何度言ったらわかるの？これだからモテない男の僻みは。あーいやいや』

梶/亘『貴様が会議に参加もせずにいつまでも電話しているからだろう！』

良/輝生『俺なんかいても意見通ることなんてないんだからいいじゃんか。それより俺は女の子とあまぁーい時間を過ごしたいの。だいたいどうして亘に俺のすることを咎められないと……』

梶/亘『ここは学校で！今は部活中！どうしていつも意見が通らないからと諦めようとするんだ！財前は放送部代表として今いるんだからもっと代表者らしい振る舞い方をだな！』

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