四月の天使に叶え【江口拓也】

ベルモント ページ16

「ポーズどうしますか？」

カメラマン「とりあえず始めは2人で談笑しちゃってください」

「談笑だって。拓也面白いこと言って」

江「いきなり無茶振りかよ……。あー、この間コンビニでカレー買ったんだけど」

「そっか、食生活気をつけて」

江「やめて！サラダも買ったから大丈夫！……俺の健康状態はどうでもいいんだよ。で、カレーを……ビーフカレーだったと思うんだけど」

「何カレーかは別にいいけど……」

江「いや重要でしょ。で、カレーとコーヒーとサラダを持ってレジに向かったんだよ」

「うん」

江「で、定員さんに『温めますか？』って言われたから、『そのままで大丈夫です』って言ったら、相手なんて言ったと思う？」

「………シール貼ってそのままくれたの？」

江「うんん、『遠慮なさらずに』って微笑まれた」

「ぷっ……え、なにそれ天使じゃん」

江「予想外でだいぶ焦ったけどな」

「いいなぁw」

江「卯月は？なんか面白い話」

「あー、この間さ、ケンタでチキンを買ったんだけど」

江「そっか、食生活気をつけて」

「デジャブ……ちゃんとサラダも買ったから大丈夫。で、混んでたからちょっと離れたとこにいたのね。そしたら大声で『骨なしチキンのお客様ー！』って呼ばれたのね」

江「うん」

「なんか罵倒された感が否めなくて素直にありがとうございますって言えなかった」

江「あはは、それはどんまい」




こんな感じでくっだらない会話を続けていると、
カメラマンさんにポーズ指定をされた。




カメラマン「卯月さんできるだけ江口くんに近づいて。そう、で見つめあってみて」

江「……近くない？」

「拓也が縮んだからでしょ」

江「縮んだとか言うな。椅子に座ってるだけだから」

「あと5センチ分けて欲しいわ」

江「160……」

「7ね。170は欲しい」

江「5もいらないじゃんか」




椅子のおかげで目線がいつもと逆。

簡単に説明すると、私が椅子に座っている拓也を見下ろしている形になる。その体勢のまま何パターンかポーズを撮る。だいぶ近い。

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