伍拾伍 ページ7
───けどその手が私に触れることはなく、志麻さんが抱きとめてくれる。
志「あっぶなっ。前見なさいよ。見かけによらずおっちょこちょいかー？」
「はぁーい」
志「じゃーまたね。みんなにはそのうち言うからまだ黙っといて？」
う「りょーかい」
うらくんに背を向けて、志麻さんの隣を歩く。
紺に染る空。星よりも明るい街灯の光。やけに静かな夜。
「わ、たしは……上手く、やれてましたか……？」
志「うん」
「ちゃんと笑えてましたか…？ 声震えてませんでしたか…？」
志「じょーずやったで。さすが役者さんやね」
「よかった……あの時伸ばされた手を掴まなくて、ほんとに…っ…」
あの雨の日も、そして今日も、うらくんは手を伸ばしてくれた。『おめでとう』って、『友達だよ』って言ってくれた。……ほんとに、どこまでも優しく、残酷な人だ。
志「A、顔上げて」
「……ム、リですよ…っ……」
志「いいから」
「ぜったいブスですもん…。いま笑えないし……っ…」
志「はぁ……」
志麻さんは目をこすっていた私の手を掴み、それから引き寄せた。心臓が止まってる間にほんの一瞬、触れる。
「……っ…？！…ッ…ぷはっ…！…な、なにするんですか！」
志「あ、もしかしてファーストだったりするー？」
「そ、そそんなわけないじゃないですか！これでも三十路手前ですよ！？」
志「それ声上げて言うことちゃうしw」
「も、なんなんですか…強引すぎませんか…？！」
志「でも、忘れたいんやろー？」
「う"っ…」
志「チョコレートよりもっともっと甘い恋愛教えたるからねー？」
「………声優の耳元でいい声は通じませんよ？」
志「あっちゃー、手厳しいw」
だいじょうぶ。きっとこの人の隣なら、私は私らしく居れる。
とっくに忘れてしまった『私』を見つけられる気がする。
きっと忘れてしまえる。"だった" することができるから。
「………付き合わせてすみません」
志「いいよ。おれが言い出したことやし。それにそんなおれ甘くないよ？」
「甘い恋愛教えるんじゃないんですか……」
志「同情なんてされんくらい、Aちゃんに好きになってもらう予定やから」
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ななき。(プロフ) - るるるさん» そういう事でしたか！いえいえ、ご指摘助かるんでうれしかったですよ。他の作品もよろしくお願いします！ (2021年6月5日 13時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - ると同一人物なんですけど、、、なんかこちらの端末のバグだったみたいで他の端末でみてみたら普通になってましたほんとに申し訳ない。。。 (2021年6月4日 23時) (レス) id: c7e16937c6 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - るさん» うぉっつ…ご指摘ありがとうございます…。どの話か教えて下さると大変助かりやす…。 (2021年6月4日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
る - 主ちゃんの名前Ａになってますよ(ﾎﾞｿｯ) (2021年6月4日 17時) (レス) id: 69a285c503 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ありがとうございます！応援を糧に精一杯最後まで頑張らせていただきますね！ (2021年3月6日 14時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年3月5日 13時
