捌拾弐 ページ34
私はムスッとした顔のうらくんの前に立つ。
「一生に一度のお願いです」
う「な、なに？」
「目をつぶって、10数えてください」
う「はい？」
「いいから。…お願いです」
う「……よくわかんないけど、わかった」
「じゃあ目つぶってください」
う「ん、つぶった」
律儀に目をつぶるうらくん。女の私でも惚れ惚れするような綺麗な肌に長いまつ毛。目を見ないでなら言えると思ったんだけど、やっぱり無理そうだ。
う「……9、8、7………3秒たったけど？」
「たちましたねぇ」
う「何もしないなら目開けていい？」
「待ってください」
ゆっくり手を伸ばし、うらくんの首に手を回した。気配を感じたのか体が固くなってるのが分かる。
う「え、ちょ、なに？？！」
「動かないでください……ほら、カウントダウン」
う「ぁ…、う、ん……6、5、4」
あなたに出会えてよかった。
う「3」
あなたの隣で笑えてよかった。
う「2」
あなたを好きになれてよかった。
う「1」
あなたが、私のことを好きにならなくてよかった。
う「…………0」
カウントダウンは止まってくれない。誰か止めてって他力本願で願ってたこともあったっけ。いつしかどうせ終わるなら派手に暴れようって考えるようになった。
大切な一員になろうとした。大好きな友達であろうとした。ついて行きたくなるかっこいい声優になろうとした。
たくさん望んでは、たくさん支えてもらって、たくさん叶えてきたけれど、結局は決まった物語までの序章、助走に過ぎない。あそこはゴールじゃない。これまではただの寄り道。だけど私にとっては、なによりも、なにものにも変え難い時間だった。
「はい！目、開けていいですよ？」
好きだよ。好きだ。あなたが好きです。
仮面も、ブレーキも、壊れてしまえばいいのに、涙が流れてしまえばいいのに、どうしても彼の前ではどうにも出来ない。カッコつけの成れの果てだ。
一方通行で、自問自答で勝手に終わらせてほしい。貴方は何も知らずに、ただ笑顔で楽しい人生を。
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ななき。(プロフ) - るるるさん» そういう事でしたか！いえいえ、ご指摘助かるんでうれしかったですよ。他の作品もよろしくお願いします！ (2021年6月5日 13時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - ると同一人物なんですけど、、、なんかこちらの端末のバグだったみたいで他の端末でみてみたら普通になってましたほんとに申し訳ない。。。 (2021年6月4日 23時) (レス) id: c7e16937c6 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - るさん» うぉっつ…ご指摘ありがとうございます…。どの話か教えて下さると大変助かりやす…。 (2021年6月4日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
る - 主ちゃんの名前Ａになってますよ(ﾎﾞｿｯ) (2021年6月4日 17時) (レス) id: 69a285c503 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ありがとうございます！応援を糧に精一杯最後まで頑張らせていただきますね！ (2021年3月6日 14時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年3月5日 13時
