参拾伍《urata side》 ページ36
……それでも声をかけたのは、雨がやむのを待たずに飛び出してしまう気がしたから。
「えっ…？！悪いですよ！浦田さんが濡れちゃいますし！」
う「僕この後仕事ないので」
「そういう問題では……！」
普段の俺なら「あぁ、そうですか」と引き下がっていたのに、なぜかこの時は引っ込みがつかず、押し問答を繰り返した末に俺はとんでもないことを言ってしまった。
う「じゃあ、駅まで送ります。それでいいですか？」
「えぇ…？！」
(なにをそんなに驚いて……ぁ………)
う「い、いや、すみません」
(これじゃあ『相合い傘しましょう』なんて言ってるようなもんじゃねぇか学生かよ…。……いやこの歳で相合い傘とか言ってる方が子供くさくないか…？だいたい相合い傘ってなんだよ！同じ傘に入るだけだっつーの！！)
「あははっw 私浦田さんに嫌われてると思ってたんですけど…じゃあお言葉に甘えて入れてもらおうかな？」
う「………どうぞ」
そのまま傘を少し持ち上げると、ひょこっと中に入ってくる。
「あ、私持ちますよ？」
う「……背が変わらないって当回しにバカにしてます？」
「えっ、まさか！いっつも傘は私が持ってたのでクセで……」
う「とんだ男もいたものですね」
「いやいや女の子ですよ！私女子校出身なので女の子に入れてもらってて」
う「へぇ…」
「あっ、見えませんか？よく言われるんですよ〜。共学でリア充グループに居そうってw」
う「まあ女子にモテそうなタイプには見えますかね」
「そうですね〜。バレンタインには毎年山のようなチョコレートがぁ〜ってそれ褒めてます？女の子らしくないって遠回しにバカにされてる？」
「え、まさかー」
う「棒読み〜。ぜったいそう思ってますね〜？」
む〜と言いながら、わざとらしく口をふくらませる彼女。
(焦ったりすねたり笑ったり、忙しい人だな……)
駅に着く頃には、すっかり苦だと思わなくなっていた。
「じゃ、またね浦田さん！送ってくれてありがと！」
う「どういたしまして。……って前見て歩かないと……」
「おわっ、すみません！」
う「ふっw」
看板に向かって頭を下げる姿に思わず笑ってしまう。しっかりした人だと思っていたけど、案外天然タイプなのかもしれない。彼女は誰からも好かれる理由はこういうところなんだろうな。媚びない自然な会話。押さず引かずのいい距離感。
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ななき。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» コメントありがとうございます！こちらこそです照 今回のお話もなかなかに回りくどいのでたんまり悶えちゃってください笑 よろしくお願いします！！ (2021年2月21日 19時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - 新作おめでとうございます！！素敵な作品をいつもありがとうございます！ななき。さんの描くストーリーがもう、悶えるくらい好きです！！更新頑張ってください！ (2021年2月19日 22時) (レス) id: 95d0968963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年2月19日 22時
