三月のクローバーコレクト 3【声優】【学園モノ】

甘い匂いの正体 ページ32

ゆっくり丁寧にひとつひとつ開けると、そこにはたくさんの服、靴に帽子、黒猫のぬいぐるみに、本、少女漫画……。それ以外にもおもちゃ箱のようにプレゼントが詰められている。




母「どう？うれしい？うれしい？」

「……あー、うん。うれしい。ありがとう」

母「よかったわぁ〜。Aちゃんの今の趣味って分からなかったから良平ちゃんに取材を頼んだんだけど、正解だったわね〜」

「良平先輩に、取材を…？」

母「これも！良平ちゃんが送ってくれたのよ？」




リビングの戸棚の上に飾られていた写真立てに飾られていたのは、浴衣を着た私や文化祭・体育祭の時の私。……学校の日常風景が取られていた。




「母さんが頼んだの？」

母「良平ちゃん、週に一回は私の病室を尋ねてくれるのよ。Aちゃんが今どんな様子だとか、こんなことに頑張ってるとか、会いに行けない私に話してくれるの」

「………良平先輩が…」




良平先輩が母さんのお見舞いに行ってくれてたなんて初めて知った。そんなこと初めて聞いた。………どうして、あの良平先輩が……。




母「A、いい幼なじみをもったわね。大切にしなさい」

「…………」

母「それでそれで？学校の方はどう？お友達はたくさんできたかしら？」

「……あぁ、うん。いっつもバスケしてるやつとか、絵が上手な子とか」

母「うんうん、それから？」




母さんは楽しそうにニコニコと微笑んでいる。私が笑わせられてるんだと思うとちょっと嬉しい。それこそ、昔の私は母さんを笑わせるためにいろいろがんばってた気がする。



やがて玄関のチャイムが鳴って、みんなが来るだろう。

もう少し話していたい気もするけれど、母さんを無理させる訳には行かない。そろそろ会話を切り上げよう。




「母さん、そろそろ……」

母「あ！そうだ！マカロンもあるの忘れてたわ！Aちゃんすきでしょ？」

「あ、うん。ありがとう」

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