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湿気た音楽室 ページ22

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良「お、珍しい。久しぶりに会ったね」

「………良平先輩。またサボりですか?」

良「ザンネン、見回りです。Aちゃんは?あ、まさか会いに来てくれたの?うれしいな〜」

「勝手に解釈して、勝手に嬉しがらないでください」




雨の日。旧校舎の立て付けの悪い扉を開けると、そこには音楽室の教台の上で寝っ転がる良平先輩の姿があった。

ピアノの前に座ると、ザッハトルテのようにつややかな表面の黒い蓋を開け、ワインレッドの布を取る。規則正しく並べられた鍵盤を撫で、それから小さく息を吸って弾き始める。




良「………聞いたことない歌だな。なんて言う曲?」

「ボカロ曲です。タイトルは……教えません」

良「え、なんでよ」

「教えません」

良「かたくな…w」




イントロ、Aメロ、Bメロ、そしてサビ、間奏……。




良「ありゃ、やめちゃうの?そこから2番だったでしょ?」

「2番は転調するんです。ここまでしか覚えてません」

良「へぇ。……にしても早くない?ボカロ曲ってそんなにアップテンポなの?」

「これは無理やり早くしたんです。倍速1.75」

良「………なんかあった?」

「…っ、……なんでそう思うんですか」

良「Aがスピードをあげる時は、決まってなにか悩んでる時だからな」




『A』と呼ぶ声は優しくて、思わず呟いてしまった。




「………また、分からなくなってしまって」

良「なにが?」

「人との距離感です。近づきたい、伸ばされた手を握り返したいと思ったのに、傷つけてしまってるんじゃないかって思えてきちゃって……」

良「近づきたいのに、傷つけたくない、か……」

「けっきょくそれも、自分が傷つきたくないからなのかもしれませんけどね」

良「その人とは、仲良くなりたいの?」

「仲良くっていうか、これからもこれまで通りでいたいんです」

良「なに、告白でもされた?」




見透かすような目。口角は上がってるのに目が鋭く光る。




「ちがっ……違いますよ。そういうんじゃないです」




この否定もきっと意味をなさないだろう。昔からそうだ。私の嘘も罪も秘密も、簡単に見透かして、見破って、からかってきてた。




良「まー、なんでもいいけど、その人は傷つく覚悟で踏み込んできたんじゃねえの?」

傷→←もういくつ寝ると



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ななき。(プロフ) - ゆゆさん» すみませんみおとしてましたぁ!!コメントありがとうございます!亀更新になるとは思いますが、気長に待ってくれると嬉しいです!よろしくお願いします! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 昨日知り、全部読まさせて頂きました!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月25日 14時) (レス) id: 2487ef8f40 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 春さん» ありがとうございます!長くなるとは思いますがよろしくお願いします!がんばりますね! (2019年12月30日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしてます!! (2019年12月27日 15時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年12月27日 9時

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