デッサンモデル ページ43
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碧「花月さん、もうちょっと横向いてもらえますか」
「はいはい」
碧「それで、そこの窓枠に肘をついてもらって」
「こんな感じ?」
碧「はい。それから、窓の外見る感じで」
「こう?」
碧「はい、それで大丈夫です」
11月。残暑が抜けない10月が終わり、やっと秋らしく空気が澄んできた頃。
私は約束通り、悠木ちゃんのデッサンのモデルになることになった。ポーズを指定されその通り動き、体を止める。
碧「身体、きつくなったらぜんぜん動いてもらっていいですから」
「りょうかい」
静かな美術室に、シャッ、シャッと鉛筆を走らせる音が聞こえる。風の音も気持ちよくて、目をつむりたくなる。
「そう言えば、ほかの美術部はいないの?」
碧「今日はお休みです。……普段もあまり来ませんし」
「そうなんだ。けっこう部員いるんだと思ってたよ」
碧「幽霊がほとんどですね。まあ、絵なんてひとりで描けますから」
「たしかにw」
好きな食べ物とか、行ってみたいところとか、くだらないことを交互に質問をしていく。
「じゃあ次、好きなケーキは?」
碧「チョコですかね。〖シャトーロア〗のチョコレートケーキが好きです」
「あー、いいよねあそこ。私そこのモンブラン好きなんだよ」
碧「紫芋のやつですか?まだ食べたことないです」
「おいしいんだよ〜。マロンのやつより好きかもしんない」
碧「今度食べてみます」
「ぜひぜひ」
普段メンズとよくいるからこういう会話は何だかくすぐったい。
碧「今度はわたしですね。…………付き合ってる人っているんですか」
何故か申し訳なさそうに言う悠木ちゃん。かわいいなぁ…なんて思いながら答える。
「いないよ〜。悠木ちゃんは?」
碧「いません。友だちすら危ういですし」
「へぇ、私もつい最近までいなかったよ」
碧「そう、なんですか…?……少し意外です」
「そう?」
碧「お美しいですし、頭もいいし運動もできて。よく告白されてるから人気者かと……」
「後輩にそんなに言ってもらえるのはうれしいなぁ。でもそんなことないよ。まわりが優しすぎるだけ。私には大した才能も可能性もないから」
碧「そうですか…?わたしから見たら、じゅうぶん魅力的に見えますけど……」
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ななき。(プロフ) - 春さん» 春さん!いつもご覧くださりありがとうございます!こちらこそこれからもよろしくお願いします(^^) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!めっちゃいいです!!これからも楽しみにしてます!(^-^) (2019年11月28日 17時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年11月27日 16時