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昼下がりのソーダアイス ページ28

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あの時、櫻井先生は頭を撫でてくれたけれど。壮馬のお母さんが教えてくれた方法を、そのまま試して見たけれど。

あれで本当によかったのか、あれが最前の手だったのか、私には分からない。

それであの日、あの海を、夜空を、見ていたんだ。




良「またここか」




そう、こうやって……こう、やって………。




「良平先輩は、ぜんぜん私をひとりにしてくれませんね……。毎日毎日現れて、暇なんですか?」

良「んー、また泣いているのかと思って」

「泣きませんよ。……ってかこの前も泣いてませんでしたし」




沙織が吹奏楽部の友達に誘われて行ってしまったので、ビーチコーミングもそこそこに、ここ数日で定位置になった海岸が見える木陰に来た。

そこには相も変わらずパーカーを着ている良平先輩が、棒アイスをもって現れた。




良「よければどーぞ」

「………どーも」




受け取ったソーダ味のアイスは、よく晴れた空の色をしていた。噛むとシャクっと音がして、舌の上で溶けていく。




「………あま」

良「そりゃあアイスですもの」




………この人は昔からそうだ。

何を言うわけでもなく、何をする訳でもなく、近すぎず遠すぎずの距離で、いつも傍にいる。
たまに私をからかったり、鼻歌を歌ったり、くだらない話を降って、意味の無い会話を積み重ねていく。

何をしたいのか、何がしたいのか、よく分からない。




良「いやでもびっくりしたよ〜、まさかあんなに大勢の前でキスするなんてさぁ」

「あれは口移しだし。薬を飲まえるために仕方なく……」

良「みんなの驚いた顔、面白かったねぇ」

「急いでたし、しょうがない事でしたよ」

良「えぇ〜、ほんとぉーにぃーー?」

「うっさいな、それ以上言うと怒りますよ!」

良「もう怒ってんじゃんw」

「……っ…ほんと、うるさいな……おせっかい……」




こうやって茶化して、からかって、無理やり顔を上げさせるのも、昔っからだ。




良「おせっかいついでにもうひとつ。今夜が最後なんだから、ちゃんと誘いなよー」

「………わかってますよ」




わかってるよ……、それくらい………。

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ななき。(プロフ) - 春さん» こちらにもコメントありがとうございます!これからも気長にお付き合い下さい! (2019年10月20日 13時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
- 新作おめでとうございます!応援してます!(^-^)v (2019年10月20日 10時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年10月19日 21時

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