�将将�.Doll ページ25
「そらる先輩！」
そ「わっ！………あの、俺だって抱きつかれるのは……」
ま「僕も！」
そ「まふまで…？！」
「わぁわぁわぁー」
ま「わあぁぁぁ〜」
そ「…なに、なんなの？何そのテンション……わ、わぁ〜……」
ひとりじゃない。ひとりじゃないよ。
そう言うように抱きしめてくれるふたりがすごく優しくて、愛おしくて、あんまりにも温かくて、思わず涙が零れた。
気づかれないようにぬぐって、それから『ラララ』と歌い出した。
「───♪」
ま「Aちゃん……」
そ「しょうがないなぁ……」
「「「────…♪」」」
ホコリっぽい音楽室に響く声。けっこう大きい声で歌っているのに、まるで子守唄のようにじんわりと耳を温める。
それから歌詞の無い歌を歌い続けた。まふくんはピアノを。そらる先輩はギターを。ポロンポロンと鳴らして。
音程を変えながら、音域を変えながら、リズムを変えながら、曲調を変えながら、何度も何度も歌っていく。
「………あははっ、たのしぃねぇ〜……！」
ま「ね！ちょー！楽しい！」
そ「歌いすぎだっての」
ま「そんなこと言って〜。なんやかんや乗ってくれるくせに〜」
「そうですよ〜！……はー、音楽がこんな楽しいなんて久しぶりに感じたよ〜」
そ「そうなの？」
「……昔は嫌で嫌でしょうがなかったから。私にとって音楽ってものは厳しくて、苦しくて、難しいものだったから。
一番最初の『音楽たのしい！』って気持ちがどんどん擦れちゃって、いつの間にか無くなってた」
母さんに言われてやってた音楽。最初のうちはよかったけど、レベルが上がるうちに苦しくなって、周りとの差に絶望してた。
『もっともっと』『上へ上へ』『その先へいくのよ』
そう言い続ける母は昔の優しい面影もなくて。
それがたまらなく怖くて。
私が上手く出来ないからだ。私がもっとやれてればこんな母さんにはなってなかった。母さんの期待に、大人の期待に、みんなの期待に応えなきゃ……。
そう攻め続けて、結局プツンと糸が切れたように音楽が出来なくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななき。(プロフ) - Noel*26さん» 見つけてくれてありがとうございます！！タイトルについては後で解説？するつもりですwこれからもよろしくです！ (2020年1月21日 21時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - ちょっと待って好き過ぎる。高評価お気に入り登録失礼します、更新頑張ってください（ ＾ω＾）（和訳タイトルが運命の年の少女だと思った私を殴りたい） (2020年1月21日 0時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななき。 | 作成日時：2019年12月29日 17時
