八話 優 ページ8
黒死牟が少年を助けたのはただの気まぐれだった
男二人の首を斬った後、路地裏に足を運んだ
みすぼらしい少年だ。
痩せ細り汚れた薄い着物。これでは真冬は寒かろう
着物から露出した真っ白い肌は所々青黒く変色している。一目見るだけで少年が今までどんな暮らしをしていたか嫌でも分かる
鬼でありながら同情した。この少年はいったい何の罪を冒したのだろうか、神が本当に居るならば何故この少年を助けてやらない。そう思うほどに酷かった
「俺を、殺して下さい…」
少年は言った
黒死牟は膝をつき少年の目の高さに視線を合わせる
「.....名は、何という」
予想外の言葉に少年は驚いた
黒死牟は真っ直ぐ少年を見詰めている
「A、と、言います」
「Aか。良い名だ.....」
黒死牟は優しく笑った。その顔を見てAは涙を零す。自分でも何故涙が出ているのかは分からない。分からないが、今の気持ちを例えるなら安堵だった。黒死牟は涙を流すAの目元を拭った
「私の名は....黒死牟...」
私と来るかとそう告げる
Aは戸惑った。何故この御人は俺にそんな事を言うのだろう。理解が出来なかった
しかし感情とは裏腹に止まらない涙の雫
Aは両手で涙を止めようと目を擦った。その手を黒死牟は掴む
「そんなに...擦っては…腫れてしまう...」
黒死牟がAに掛ける言葉は罵倒でも批難でも無く優しい、Aを気遣った言葉だった
それがAの心を揺らした。生まれてから愛もなくただ責め立てられるだけの毎日。Aの心は酷く傷付き閉ざして閉まった。その心を黒死牟は無自覚にも開けたのだ
初めての優しさにAは涙を流す。優しさと言う言葉を知らないAは自分の涙の理由が分からないが、この涙は痛みや悔しさから来る涙では無いという事は分かっていた。
Aは黒死牟の首に腕を回し抱きついた。黒死牟は驚きながらもAの背中に腕を回して優しく摩った。そしてAは黒死牟の温もりに包まれながらゆっくりと目を閉じた
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あんこ(プロフ) - あ、あの…ホームページの方を今読んできたのですが…占ツクのも、そちらの方も、尊くて死にそうになりました…今回の占ツクの方の更新すごく嬉しかったです。更新、無理せず頑張ってください！ (2019年11月6日 1時) (
レス) id: c12f380ffd (このIDを非表示/違反報告)
聡舍(プロフ) - 非常食の玲音__腐__低浮上さん» ありがとうございます！！！ (2019年11月5日 18時) (レス) id: 8706bb80e6 (このIDを非表示/違反報告)
非常食の玲音__腐__低浮上 - やっぱりいいですね、、、この小説（）とても好きです（白目） (2019年10月24日 21時) (レス) id: 8d59e0f155 (このIDを非表示/違反報告)
聡舍(プロフ) - にゃさん» わざわざホームページから飛んできて下さり感謝です！こちらではホームページとは内容が違いますのでこちらもホームページの方も楽しんで頂けたら幸いです♪ (2019年10月19日 19時) (レス) id: 8706bb80e6 (このIDを非表示/違反報告)
聡舍(プロフ) - 非常食の玲音さん» ありがとうございます♪♪ (2019年10月19日 19時) (レス) id: 8706bb80e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聡舍 | 作成日時：2019年8月15日 16時
