十九話 囮 ページ20
日が沈み辺りは薄暗い
少年が街の外れに一人、佇んでいた。衣服は汚れ髪は乱れている
ある女がその少年に近づいた
「坊や、1人でどうしたんだい?」
長い黒髪を後ろで束ね優しく温和な顔をした女は少年を落ち着かせるように笑った
「おっかあとはぐれたんだ」
「あらまぁ、でももう夜も遅いわ。一先ず私の家へいらっしゃい」
物腰柔らかく話す女は一見誰が見ても人畜無害そうに見える
女は優しく少年の手を掴み歩き出した。少年も何の抵抗も無く女について行った
足を進めて行くうちに段々と街から外れて行き人気が少なくなって行く
田んぼ道を半分通りすぎた所で女は足を止め少年の顔をまじまじと見つめた
「坊や、とても綺麗な顔をしているわね」
そっと少年の頬に両の手を添え優しく撫であげる。その手は段々と上に登っていき少年の目のすぐ下を数回親指で撫でると女の頬は紅く染まり息が荒くなった
「はぁ、はぁ、綺麗、綺麗だわ!こんな綺麗な瞳今まで見たことあるかしら!」
さぁ、急ぎましょうと再び少年の手を握りしめると先程よりも早く足を進めた
山に少し入り整理されてない道を進んでいくとボロい屋敷が姿を現した
「さぁ、着いたわよ」
戸を開けて女は少年に家に入るよう促す
少年は一歩、屋敷に踏み入れると顔を顰めた
少年が完全に屋敷内に入ったのを見越して女は戸を閉めると少年の背中を押して屋敷の奥へと誘導した
「っ!!!」
襖を開けて入ったその部屋に思わず少年は絶句する
壁一面に立てられた棚に無数の透明の瓶が隙間なく並べられていた。その瓶の中には夥しい量の目玉
「坊やは特別よ。坊やの目玉だけは大事に飾ってあげるわ」
そう言うと女は瞳が猫のように細長く人間には無い牙を口元から覗かせ、少年に襲いかかった
「………え?」
少年に襲いかかった女は呆けた声を出した
本来ならば今頃は少年の首にかぶりついているであろうに何故自分はいつもの目線より高い位置にいるのだう
「目玉を愛でるとは気色の悪い趣味を持った鬼だな。お前のような鬼は地味に死ね」
鬼が少年に辿り着くより先に宇髄が後ろから鬼の首を着る方が数秒早かった
「ギャああああああ!おのれぇ!!鬼狩りめ!!」
「恨みたきゃ始めから張り付いてた俺に気づかない弱い自分を恨め」
そして女は灰となって消えていった
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あんこ(プロフ) - あ、あの…ホームページの方を今読んできたのですが…占ツクのも、そちらの方も、尊くて死にそうになりました…今回の占ツクの方の更新すごく嬉しかったです。更新、無理せず頑張ってください! (2019年11月6日 1時) (レス) id: c12f380ffd (このIDを非表示/違反報告)
聡舍(プロフ) - 非常食の玲音__腐__低浮上さん» ありがとうございます!!! (2019年11月5日 18時) (レス) id: 8706bb80e6 (このIDを非表示/違反報告)
非常食の玲音__腐__低浮上 - やっぱりいいですね、、、この小説()とても好きです(白目) (2019年10月24日 21時) (レス) id: 8d59e0f155 (このIDを非表示/違反報告)
聡舍(プロフ) - にゃさん» わざわざホームページから飛んできて下さり感謝です!こちらではホームページとは内容が違いますのでこちらもホームページの方も楽しんで頂けたら幸いです♪ (2019年10月19日 19時) (レス) id: 8706bb80e6 (このIDを非表示/違反報告)
聡舍(プロフ) - 非常食の玲音さん» ありがとうございます♪♪ (2019年10月19日 19時) (レス) id: 8706bb80e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:聡舍 | 作成日時:2019年8月15日 16時