Bonbonniereにキミを閉じ込めて 01(乙) ページ27
ｰｰｰｰ
｢あ、あの･･･おついちさん･･･｣
｢ん？どうかした？｣
どうかした、じゃないです･･･
｢その･･･ちょっと、近くないですか･･･？｣
いくら満員電車とはいえ･･･
こんな、今にも唇が触れそうなほど近付かなくても･･･
｢ごめんね？電車混んでるからさ｣
そんなこと言いながらも楽しそうに彼は笑う。
片腕は私の顔の横、もう片方の腕は私の腰。
(これじゃ身動き取れない･･･)
おついちさんが私を抱き寄せるように腕を動かせば
体が密着する。
電車が混んでるのをいいことに首筋に
顔を埋めてくるおついちさんから
逃れようとするけど無駄な足掻き。
｢！！･･･ちょっと、！｣
ふいに腰に回された腕が動いた。
｢え？なに？どうしたの？｣
にんまり笑う彼は確実に確信犯。
｢おついちさん、どこ触ってるんですか｣
｢何かあったら大変だからこうやって
守ってるんだよ｣
ちょっと何言ってるのか分からない。
こんだけ密着していれば何かあるかも
なんて心配は毛頭ないけど
別の心配が出てくるわけで･･･。
｢これじゃおついちさんが怪しい人ですよ？｣
｢そう？｣
｢はい、傍から見たらそう見えても･･･｣
私の言葉に少し考えるような素振りを見せるけど
体は抱きしめられたまま。
｢そうだ。Aが俺に抱きついてくれれば
怪しまれないよ｣
｢･･････｣
呆れて言葉も出ない、
そんな顔をして彼を見上げれば
クスクスと笑いながらやっと体を離してくれた。
電車を降りて家までの道を歩く。
｢A｣
伸ばされた手。
｢はい｣
大きな手に私の手が重なる。
たわいもない会話をしながら家に着いて
荷物を下ろそうとした時
突然後ろから抱き締められた。
｢ちょっと、おついちさん･･･｣
｢･･････｣
後ろで私を抱き締める彼からの返事はない。
｢どうしたの？｣
｢Aを俺だけのものに出来ればいいのに｣
｢･･････？おついちさんの恋人ですから
おついちさんだけのものですよ？｣
何故か拗ねた様子の彼。
その理由がわかるわけもなく、私はされるがまま。
｢はぁ･･･ほんとは誰かに見られるのもやなんだけど。
でもそういう訳にもいかないし、ねぇ？｣
｢ねぇ、って言われましても･･･｣
よくわからない、という顔をしてたんだろう。
優しく笑うおついちさんに頭を撫でられた。
｢今はこのままでいいや｣
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年3月12日 0時
