騒《いちごみるくさんリク》 ページ10
「ふう…」
ノートの端を合わせながら、大きく息を吸って吐いてみる。
空きっぱなしの窓は躊躇なく潮混じりの風を受け入れ、傍でカーテンがばたばたと音を立てて身を翻す。
その音に釣られて窓の外に目を向けると、大きな入道雲が目に入った。
後ろには青い空に不釣り合いな黒い雲を引き連れて。
『雨、振りそうじゃんね』
「っ、」
冷たく、少し笑いを含んだような声が沈黙を破った。
思わず肩が上がってしまう。
『なに、勉強でもしてたの』
「ちょっとだけね、家やと集中できんから」
『へぇ、いい子かよ』
「もどき、やけどね」
『…まぁいいや、今日私レインコート忘れたんだよね』
『私自転車通学だからさー』
ぎし、ぎし、と床が軋む。
言いたいことは何となくわかった。
そう察した瞬間、私の机にかかっていたレインコートの袋が引っ張られる。
雨に濡れるのは嫌いではないけれど、教科書を濡らすのは嫌いだ。
「あの、一応私も、」
『あんたは迎えに来てくれる人がいていいよね』
『じゃ、レインコートありがと』
何も言い返すことができず、気だるそうに袋を引き摺りながら教室を出ていく彼女の背中をただ見送ることしかできなかった。
とは言っても、まだ雨は降っていない。
だから今から急いで帰ればまだ間に合う…
うわ、降ってきた。夕立。
ぱらぱらと窓に雨が当たる音がしたかと思うと、突然雨脚は強くなる。
急いで窓を閉めたけれど、ものすごい風のせいで少し床が濡れてしまった。
さて、どうしよう。
閃光と共に校舎を震わせる雷鳴、こんな中帰ったら死ぬんじゃないか。
とにかく下校時刻までにはここを出ないといけないので、リュックを背負ってそこから考えることにしよう。
…それより、彼女は無事に帰れたのだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
りょうくん夕立すごいね、A大丈夫?
としくん学校じゃない?家に自転車無かったから
虫くんとしくんAの家の前まで行ったの?
としくん着眼点そこじゃねえ!通っただけだ
てっちゃん俺が迎えに行こうか?
としくんそれはバカ
りょうくん車無いでしょ
てっちゃんいいやん歩きでも!
虫くん逆にAの荷物になっちゃうよ
A私は生きる
騒【虫眼鏡side】《いちごみるくさんリク》→←騒【虫眼鏡side】《いちごみるくさんリク》
338人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むめ(プロフ) - 優さん» ありがとうございます(;▽;)嬉しいです(;▽;)更新めちゃくちゃゆっくりですが、どうぞお付き合いください(;▽;) (2019年1月2日 20時) (レス) id: 31725d356a (このIDを非表示/違反報告)
優 - めちゃくちゃ好みの作品です!更新頑張って下さい!応援してます! (2018年12月28日 14時) (レス) id: b364b26750 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - むめさん» 全然大丈夫です! (2018年9月9日 21時) (レス) id: d9dc425cfd (このIDを非表示/違反報告)
むめ(プロフ) - いちごみるくさん» リク了解しました!!ドラマとかそんな感じでも大丈夫でしょうか...??( ´艸`) (2018年9月9日 16時) (レス) id: 31725d356a (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - リクエストいいですか?てつやと2人で買い物に行って車が赤なのに突っ込んできて、てつやがひかれそうなところをたすけて代わりに引かれてしまう、そして記憶喪失になる的なのできますか?記憶はそのうち取り戻す的な感じで、お願いします! (2018年8月28日 20時) (レス) id: d9dc425cfd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むめ | 作成日時:2018年6月15日 1時