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episode21 ページ21

湊月




A先輩が倒れたと、春乃先輩から聞かされた



御幸先輩が運んで、高島先生が付き添ってるから大丈夫だと教えられて、ほっとした






練習前、A先輩の顔色が悪かったのを思い出す


原因がストレスや疲労だと聞き、胸が押しつぶされそうになった







琴「A先輩…ごめんなさい」




もう、貴方がそんなに苦しむのは嫌なんです




私が憧れた、目指すって決めた貴女の覚悟は、変わってないかもしれない



けど、そんな貴女だからこそ



愛する人の隣で……



御幸先輩の隣で、いつものように笑っててほしい







練習後、仕事を早々に終えてそのままA先輩の部屋へ向かう


きっと御幸先輩なら、真っ先にA先輩のとこに行くはずだから





そっと扉を開けると、床に座り込んでA先輩の手を握る御幸先輩がいた




御「おまえ、まだ帰ってなかったのか?」


琴「はい…どうしても、言わなきゃいけないことがあります」





【一也のこと…頼んだよ】


【大丈夫だから】




寂しそうに、苦しそうに笑うA先輩の顔が離れない




私じゃダメなんです




A先輩じゃなきゃ、御幸先輩は支えられない




そして、御幸先輩じゃなきゃA先輩を支えることはできない






それから、全てを話した





どんな経緯でここまで至ったのかの全て




それを、ただ黙って、御幸先輩は聞いてくれた






琴「ほんとうにごめんなさい…私のせいです…全部……全部私が…ッ」




御「……おまえのせいじゃないよ」



琴「……御幸先輩」



御「って、Aなら言うからさ…だから、おまえのせいじゃない」

「話してくれてさんきゅ」







そう言って、私に向けていた視線を、A先輩にもどした御幸先輩









その横顔は









A先輩を見つめる視線は









誰にも向けない…きっと、A先輩にしか見せないくらいに、優しいものだった

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作者名:玲海 | 作成日時:2020年2月13日 22時

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