夏の続き (ページ17) - 小説/夢小説

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episode17 ページ17

選抜メンバー20人が決まり、夏の予選がはじまろうとしている頃

私と一也の距離はよそよそしくなった

ただの、選手とマネージャーの関係

会話は必要最低限

周りは何も聞いては来ないけど、何となくみんなわかってるんだろうなって

琴羽も、我慢してくれてるんだろうなってわかる

『由良総合か…』

初戦に当たる相手である由良総合高校

元青道監督が率いる高校

『んー…こんなもんかな』

ナベちゃんが流してくれたビデオを観ながら、ノートを埋める

ただこれを、前みたいに一也に渡すことは無い

『ナベちゃん…』

渡「A？どうした？」

『はいこれ、使って』

渡「これ…俺にあげてもいいの？」

『うん…使って……お願い』

私の表情に、渋々ノートを受け取ってくれたナベちゃん

渡「ねぇ、A」

『ん？』

渡「2人に何があったか知らないし、みんなも聞かないと思う」

「きっとAにもいろいろあって、それでやっと決めた決意なんだと思う」

「けどさ…みんなわかってるからね」

「Aが、変わらず御幸を大事に思ってること」

ぽんと乗せられた掌が優しすぎて、視界が滲む

『うん…ｯ……ありがとｯ』

いつだって私をわかってくれる

ナベちゃんだけじゃない

ただ優しく見守ってくれるみんながいる

終わらせちゃいけない

みんなの夏を

一也の夏を、日本一長い夏にしなきゃいけない

一也を…天才捕手でいさせる

『なんにも…変わらないから』

渡「うん」

『私がやらなきゃいけないことは一つだけ…それだけは変わらないから』