とてもじゃないけど、 (ページ4)

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ep.3 ページ4

『っ、しだ！？いっって！』

「ああこら！傷が深いんだから動いちゃダメ！」

「目ぇ冷めたか矢田！ッッテ！」

「あなたも！！ああもう、君たち喧嘩で入院なんてね…」

急に鮮明な映像が脳内で流れ始めて、それから一瞬にして目が覚めた。今まで自分は何か深い眠りについていたような、そんな感じだった。サボテン…瀬ノ門の奴らと、多分あれは鎌坂の制服だった。氷室とガンジーが率いる鎌坂はかなり殺気立ったやつが多い。特に先に名前を上げた2人はかなり面倒な奴らだ。

「大丈夫か。俺もやられたけどよ、志田なんかICUだぜ」

『清史は鬼邪高でやられたわけ？』

「おう。泰志たち追い出して1人でやったら、やられちまった！あいつら許さねぇ…って言いたいけど、今はこんなだし動けねぇんだわ。矢田は？」

『俺は志田がやられてるとこ見て、割入ったらこのザマ。あいつら、手錠かけて動けなくした上にパイプやらバットやらで殴りまくってた。勝者になれるなら手段を選ばないような、頭も弱い人間の集まりだったよ』

「手錠か……。俺と泰志も割と手段は選ばねえけどよ」

『あ、認めるんだ』

「おう。でも、俺たちはそこまで落ちちゃいねえわ。自分に自信はある」

確かに河川敷で初めて鬼邪高と衝突した時、俺の初戦は清史だったけど上から鳳仙の人間を落とされてスタートした。ただ、その時道具は使ってこなかった。あの絶望団地に乗り込んだ時も、あいつは力技ばかりで進んでいった。泰志の方は確かにあれだけど、皆なにも悪いやつじゃない。

「聞いたところ、中越と辻に柴マン、あと…司と連絡が取れないらしいぜ」

『司……』

初戦の清史をひれ伏せたあとの俺の相手は高城司だった。轟が有剣を叩きつけた瞬間に駆け寄ろうとしたら、目の前に司が立っていた。正直司は強い。多分あの時、鬼邪高の定時が止めに入ってくれてなければ俺は負けてたかもしれない。でも疲労で足元がふらついて倒れそうになった時、司は俺のことを支えてくれた。そんな可笑しな、優しい奴初めてだった。

「A〜、小田島だよ〜。およ？」

『ゆ、うけん！！！っった！』

「こらこら、動かない。あらら。こんなに包帯だらけになっちゃって」

『ごめん有剣、連絡すればよかった』

「あの状況だとできないでしょ。いいよ、生きててくれたし。あと清史もありがとね〜、泰志に連絡くれて」

「おう！」

ICUの方には仁川と沢村が向かったけど、まだ志田の意識は戻らないらしい。