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ep.17 ページ20

(上田)


珍しく最前線に立っていたAの後ろ姿を見て、えらく成長したなと思った。昔は後に立ってこそと言わんばかりだったのに。


「A。この辺は終わったぞ」

『こっちも片付いた。さーて、うちの可愛い妹に手出した馬鹿はどーこだ』


まあ今回は無理もないか。Aの妹が顔に傷をつかって帰ってきたらしい。なんでも、町で他校のやつにいきなり絡まれてやられたんだと。俺も妹がいるから分かるけど、そんな事が実際にあったら黙っていられない。しかも相手は「矢田Aの妹」だとわかって殴ってる。これは、Aだけでなく鳳仙がナメられてると言っても過言ではない。


「っしゃぁ!見たか!」

「まいど〜」

「なんだ?今更ビビってんのか?」

「佐智雄!奴ら、奥に逃げ込んだぞ!」

『佐智雄。どうする?』


奥へ奥へと逃げ込んでいくブレザー姿の野郎どもを見て、苛立ちを覚えた。自分たちから喧嘩を売っておいて逃げるとは。


「行くぞ」

「りょーかい」

『はーい!お前らが探してた殺し屋鳳仙ですよー、っと!』


うちのスキンヘッド集団が壁となり、俺たちの行く道を開いた。最近では更に団結力が増している気がする。鬼邪高との衝突、瀬ノ門との乱闘、そしてラオウとのタイマン……色々と語り継がれそうなイベントがあってからと言うもの、個々の強さも格段に上がった。


「Aは俺と一緒にこっち」

『俺1人で行くって〜』

「あぶないからダメ」

『赤ちゃんじゃないんだから大丈夫だよ』

「心配なんだって」


小田島がいつものように過保護を発揮してる間も、Aは相手に対して一手一手を確実に決めていた。鳳仙の中でよく計算され、圧倒的に正確なのはAだと思う。昔先輩たちに"機械的だ"と馬鹿にされたことがあったけど、その先輩すらも殴り落としたAは確かな腕だ。


「多分ここ、ですね。確か女の子が拉致られてるとの情報が入ってます」

『はあ!?趣味悪!』

「てか頭はどこだよ」

「…仁川。Aの足元、見てみろ」

「あ?」

「そいつがここの頭だ」

『えっ!?まじ!?』

「へ〜、もう終わっちゃったってわけ?呆気ないねぇ」


終わりに近づいた花火のように、大乱闘が起きている間に頭は狩ってしまったらしい。それもAが。


『じゃあ中にいる子、出さないと』

「そうですね!確認してきますか?」

「俺も中に残りがいないか見てくる。ここは頼んだぞ」


ったく。相変わらずこの地区は荒れ放題だな。

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作者名:飽き性 | 作成日時:2022年9月30日 1時

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