ep.1 ページ2
「あー、矢田か。お前今どこにいる?小田島と一緒か?」
『有剣は柔道ごっこしてるから買い出し。志田は?』
「それが…よ、」
『志田?』
志田からの連絡が途絶えた。お前から連絡しておいて、と思ったのを口に出さなかったのは何か嫌な予感がしたから。志田が有剣が出ないと俺にまで連絡してくることなんて、そうそうない。向こう側に何かあったんだろうか。そう思うのも可笑しくはなかった。
..
『…おい!何してんだよお前ら!』
鳳仙への帰り道。ふらふらと歩きながら佐智雄に写真でも送ってやろうとカメラアプリを起動させると、真っ赤な学ランの野郎どもが画面いっぱいに映り込んだ。よく見れば、奴らの足元には血だらけのグレー学ランが倒れているではないか。待てよ、俺の嫌な、その想像が当たってしまっているとしたらこれは…。
『っ、しだ!!!!!』
「あ?ああ。矢田か。志田が呼んだか」
ついさっき買ったばかりの缶ジュースを思いっきり叩きつけて、生きてるかすらわからない志田の元に駆け寄った。とんでもない血だ。あまりにも出血が酷すぎる。それと…、
「友情ごっこは済んだか?お前は昔から賢いからな、お前にも聞いてやる」
『いいよ。志田がこうなった以上、肯定の言葉は出ないし』
「…上田と小田島がいない今、お前は無能なのにな!」
だよな?サボテン、お前がそのバットで殴りかかるタイミングは"今"だと思ったよ。少し見ない間に成り下がりやがって。瀬ノ門ね…ここも、バカの集まりか。
『んー?誰が無能だって?…やってから決めて』
右を見ても左を見ても、ひと、ひと、ひと、ひと。無能はお前らだろ。これだけ人数集まれば、弱い人間でも多少の邪魔にはなる。鬼邪高から瀬ノ門の奴らが彷徨いてることも聞いてたしな。…いや待て。なんだ、こいつら瀬ノ門じゃな、
「矢田ァ!」
サボテンから金属バットを食らった後、足元がふらついた拍子に背中から倒れ込んだ。
『ゔっ…、おい!まて!志田は、!』
本当とんだクソ野郎どもだな。見てわかんないの。志田、もう戦えないどころか立ち上がれない。やめろよ、本気で人を殺める気かよ。生身の手ぶらな人間相手に、この人数で武器ありですか。
『何勝って気持ちいい顔してるの?まだでしょ、何も始まってない』
「ふうん。じゃあ殺してやるよ、お前も志田も」
サバカンから聞いた話だけど、最近おかしな連合ができたらしい。その連合こそ、この……、
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作者名:飽き性 | 作成日時:2022年9月30日 1時