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「なぁトントン」
帰りの車の中で、ぽつりとトントンに話しかける。
「なんや辛気臭い顔して」
「Aのこと、とりあえずトントンにしか言わへんからさ」
「わかっとるで、誰にも言わへんで」
「さすがやな、やっぱわかっとるわ」
「せやろ」
「あとさ、俺これで合っとるんやろうか」
窓の外の海を眺めながら尋ねる。
「合っとるとは」
「変に優しくするよりさ、サクッと髪飾り見っけてちゃんと成仏してもらったほうがええんやないかなって」
「あー、確かに優しくしとると余計に未練が出来そうやからな」
「せやねん。やからといっていつも避けられてるAに冷たくなんて出来ひんしなぁ」
「はぇ〜、シャオロンさんやけに肩入れしてますねぇ」
「なんかな、ほっとけんねん」
「まぁある意味お前も独りやからな」
「どういう意味やねん」
「ほら、不人気やからリスナー少ないやん」
「やかましいわ!」
「…まぁ、ええんちゃう?」
「え?」
「なんだかんだ手焼いてまうところがシャオさんのええとこやと思うしな」
「…ええこと言うやん」
「でもちゃんと成仏はさせんとあかんなってのは思うわ」
「それは俺も思っててんな。どう探そうか、髪飾り」
「まずあれちゃう?
ってあれ?
…そういやさ
Aさんってなんで亡くなったん?」
触れられなかった核心を、トントンは突いた。
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作者名:ツナマヨ | 作成日時:2019年1月17日 23時