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「ルール？」
「は、はい！」
冥界にもそんなものは存在していたのか。
「まず一つ、相手の名前を聞かないこと」
「なんであかんのん？Aの名前は知っとんのに？」
「霊が名前を知るということは、冥界とつながってしまうことになるので…」
「俺が成仏してまうんか」
「ま、まぁ、そんな感じになる…んだと、思います？」
「曖昧やな」
「この掟を破った人を知らないので…」
「そうなんや」
じゃあ俺の名前はAに伝えることが出来ないのか。
「あ、じゃあさ、渾名とかもあかんの？」
「渾名は大丈夫だと思います！」
「んじゃ渾名教えるわ。シャオロンって言いますー」
「シャオロンさんですね！わぁ、ほんとのお友達みたい…！」
「ええんやない？本当のお友達で」
そう言えば、ふふふっと彼女は笑った後、
「シャオロンくん！」
少し大きな声で、そう呼んだ。
「なぁにA」
だから俺も、返してやった。
「あ、忘れてた！もう一つのルール…」
そう言うと、Aはわかりやすく顔を曇らせた。
「いつか別れるときは、現実世界の人の出会った記憶を、絶対に消さなくてはならない」
「出会った記憶を、絶対に…」
「会話が出来た人限定なんだけど…。理由は私もよくわからない。ただ、消さないとシャオロンくんがきっと危ないから…」
「まじか…」
「で、でもほら！それまでは一緒にいよう！いてほしい！」
「俺とAが別れるときって、どんなときなん？」
「それは…」
彼女は声をすぼませた後、控えめに答えた。
「私が成仏するときか、シャオロンくんが、もうここに来なくなる時」
泣いているようにも見えるAの頬を、潮風が優しく滑っていった。
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作者名：ツナマヨ | 作成日時：2019年1月17日 23時
