検索窓
今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:7,628 hit

5 ページ5

.



「まず世界が遠い人には、私が人間からかけ離れたような見た目に見えます」
「へぇー!」
「そしてまあまあ近い人には、私が何かを伝えたいんだってことが伝わります」
「あー、なんかホラー話でよく聞くやつ」
「そうです、それです!最後に、壁が本当に薄い人は、はっきりと会話ができます」
「じゃあ俺は壁が薄いんや」
「そうですね、こんなに話したの初めてですよ!」
「なぁ、もし俺がもうここに来なくなったら、次に会話できる人と出会うのってどんくらい後になるん?」
「うーん、そもそも私、こんなにはっきりと会話したのは20年ここに居て初めてなので…」
「20年!?20年とか赤ん坊も成人してまうで!?」
「あははっ、そうですね!もう毎日退屈で退屈で。」
「そりゃそうやろな…」
20年も独りでここにいたのか。

「でも」
彼女は続けた。
「ここの岬の満ち引きを見てるのも、中々楽しいですよ!
ちょっと奥を覗けば、夏は海水浴してるし、山を眺めれば登山する人や子供達がいるし。眺めているといろいろ発見があるんですよ!」
「せやけどなぁ」
「ただ、その発見を誰にもお話出来ないんですけどね」
隣に座るAは、そう言って苦く笑った。


「俺で良ければ、話しにくるよ」

「え?」

「めったにおらへんのやろ?いくらでも話したるよ」

「…嬉しいです!すごくすごく!すごく嬉しい!」
そう言いながら、彼女は綿毛のように飛び跳ねていた。
なんだかこちらまで頬が緩む。

「あ、俺の名前は…」
「だめ!」

「え?」
「この関係には…ルールがあるんです…」
Aは目を伏せながら、そう答えた。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
設定タグ:wrwrd! , シャオロン
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ツナマヨ | 作成日時:2019年1月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。